気まぐれサイコロジー

こちらは作者さまが大学生時代に出会った、研究熱心な友人達をひとりひとり紹介されている短編エッセイです。
それがもうすっごく濃いいい！！

心理学分野からオカルトぽい分野まで、色んな事情を抱えながらも、とにかくド真剣にその研究へ情熱を捧ぐ人達がたくさん出てきます。
私はこのエッセイを読んで、とても勉強にもなりましたし、世界って本当に面白いなとめちゃくちゃ思いました。
中にはおもわずほろりとするお話もあり、なんだかとても自分自身が励まされているような、こんな風に考えていけばいいのかな、とか生きる上ですごく参考になったお話もありました。

作者さまの語り口もとても読みやすく、『読んでいる』という感…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（54文字）

一つのお話につき一人の人物にフォーカスされ、その方の心理学に関する研究を知ることができます。
ただ単に研究について読むというと面白そうな気がしませんが、全てが実在の作者の方のお知り合いの方というところがこのエッセイがとても面白く読めるポイントだと思います。

筆者の方の目線と、その方に向けた尊敬の眼差し、研究についての愛情が文章からひしひしと感じられます。
私が最も印象に残ったのは五人目の方の、ある意味で身を削るような切なさを秘めた研究でした。
知らなかった心理学の世界の扉が非常に身近に感じられる素敵なエッセイです。

　エッセイである。
　面白おかしく、脚色しているわけでもない(と思う)。
　しかし、面白い。
　それは、なぜか。

　一つは、作者の語り口か。
　淡々としているようだが、どこか暖かみも感じる。
　それは、作者が過去を、思い出を振り返っているからか。
　なんとなく、読者の私も感情移入してしまって、懐かしい気持ちになる語り。

　他には、内容。
　単純に、どのお話も面白い。
　作者の出会った人物が、いかに個性的で、魅力的な人物であるかが正確に伝わってくる語りも相まって、面白い。

　文字数も少なくて、気軽に読めるのでぜひご一読を。