写実的な描写と、フィクションと笑い飛ばせない世界観は、何処か私たちの未来を予期させます。短編小説とは思えないこの重み、なかなか書けないと思います。ぜひご覧ください!
それが何なのかも分からないでいた頃の記憶が成長することで理解して、理解した頃には追いかけても届かない。淡くて手のひらに乗せたら解ける雪みたいに切ない話でした。
短いながらも、凝縮された抒情性を感じさせる美しい作品です。美しい雨の描写と切れ切れに手紙の文面を差し込む構成が秀逸。読み終えた時、心を揺さぶられるような感覚を覚えました。
夢から覚めた現実は、たいていは、悪夢から目覚めて安堵するもの。それが逆だったら……ああ、救いがほしい。
帰宅した僕に届いたそれは、過去からの手紙。管理教育を受けていたあの頃、僕たちは課程を終えた記念に未来に向けて何かを残すことにしたんだ。未来の自分に向けて書くはずだった手紙を、友人同士で書いて送りあったのだ。途中からのSF要素がいいです。切ないです。短編なのに、圧倒的世界観です。
まず目に触れる文章としての巧みさ。それでも読み耽るうちに見るべきものが文章の巧さではなく展開の上手さであると気付く。主人公に。そして主人公を思う人に。主人公が思う人に。いったい何が起きたのか。それは主人公の行動から推測するしかない。それがより深い感情移入を呼び覚ます。最後まで読んだらまた最初から読むことをおすすめします。
魅力的なレビューが目についたので拝見しました。この文字数でこの世界観を作りあげる作者様の力量に脱帽です。衝撃と鳥肌がたちまさしく魔法のような文章でした。ご覧になっていない方は是非一読を。
このレビューを見つけられたアナタ…幸運でしたね。 先ずは本作品の数行を読んでみましょう。 もうアナタの指は止まらなくなります。そして、次に襲ってくるのは鳥肌です。 それも心の底から湧き上がる表面だけのものではありませんよ。 そして終盤は視界がボヤけて来ます。きっと手元にティッシュがあるといいでしょう。 実に文字数が3000にも満たない中で、これ程の衝撃を受けるとは思いもよりませんでした。 それは発達する文明の中で犠牲になっていく事象へのアンチテーゼなのか、警鐘なのか… きっとアナタは最後に一つ 深い溜息を漏らす事でしょう。
書き出しの第一文からの、密度ある詩的な言葉に揺さぶられてしまいました。読み進めるごとに明かされる不穏な世界の在り方と、それに真っ向から逆らうように純度を増していく想いと、その落差が残酷なまでに素晴らしいです。傑作だと思います。
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