書き出しの第一文からの、密度ある詩的な言葉に揺さぶられてしまいました。読み進めるごとに明かされる不穏な世界の在り方と、それに真っ向から逆らうように純度を増していく想いと、その落差が残酷なまでに素晴らしいです。傑作だと思います。
荒川ハギですよー☆
それが何なのかも分からないでいた頃の記憶が成長することで理解して、理解した頃には追いかけても届かない。淡くて手のひらに乗せたら解ける雪みたいに切ない話でした。
短いながらも、凝縮された抒情性を感じさせる美しい作品です。美しい雨の描写と切れ切れに手紙の文面を差し込む構成が秀逸。読み終えた時、心を揺さぶられるような感覚を覚えました。
まず目に触れる文章としての巧みさ。それでも読み耽るうちに見るべきものが文章の巧さではなく展開の上手さであると気付く。主人公に。そして主人公を思う人に。主人公が思う人に。いったい何が起きたのか。…続きを読む
ずっと未来の話。もはや文化遺産となった「文字での手紙」を、自分に宛てて書くというのが、子供の頃にあった。だけど、僕たちは仲間内でこっそりそれをお互いに届くようにした。掌編でありながら、そ…続きを読む
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