概要
短編特別賞 受賞作品
時は2060年。
超高齢社会を迎えた日本は、ろくに対策を取る事もないまま、介護崩壊を起こしていた。
今や自宅介護に老々介護、多重介護は当然で、少子化も伴って子供一人で多くの親を看る事が当たり前の世の中になっていた。
河幡光輝星(こうはたらいと)も今年85歳になる寝たきり・認知症の母親の葵(あおい)を介護する65歳。
介護ホームを気軽に使えなくなった世の中は、在宅介護は普通の事になっていた。
独身で他に身寄りも無い光輝星は仕事を辞めて孤独に、母親の最期までを看取る予定だった。
しかし、そんな光輝星のところへ、K市から派遣された介護ロボット「みどりさん」がやって来る。
【注意】介護に関する事は、介護に精通してない作者が独学で調べ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!さすが短編賞、完全なるプロット勝ちです
話の構成が誠に巧みで、これは続編が楽しみになりました。
以前からさくらさんの話を拝読させていただいているのですが、不思議とカクヨム短編賞の特別賞受賞作を見逃していました。
今回、「ハッピー・アンハッピー・ウエディング」という、この作品と世界観が同じ、という新作が出ていたもので(しかももう完結してる……)これはまずはこちらを……ということで、早速。
――本当にストーリー構成が巧みです。完全なるプロットの勝ち。
第二話からどんどんと話が動いて、新たな要素が付加され、それが最終的に最後の感動的なエンディングに昇華されましたね。
ピリリとした脇役の存在もあり、さすがは短編賞、めちゃめ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本当に素晴らしい作品に涙が溢れた!
無知で無学な人間が、こんな素晴らしい作品にレビューを書くなんて、おこがましいが、書かずにはいられなくて! 僕の気持ちを正直に書きます!
登場人物と登場ロボットの優しさと思いやりに、涙が溢れた。
文章の進め方とセリフの上手さに感激した。
ぼくは、他の人の素晴らしい作品に出会うと何時も嬉しい、が、如何して他の人は、こんなに面白くて上手で素晴らしい小説が書けるんだろう?と項垂れる。
僕は、如何して情けなくて、下手な小説しか書けないんだろうと、悩む。
他の人の作品を、手放しで喜んでばかりで良いのだろうかと、自分自身に情け涙がうかぶ。自分の作品に愛着が在るから、気負った宣伝をするが、このような優秀な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!介護の現実とロボットの未来と
私は介護の経験はまったくありませんが、文章を読んでいるだけでその大変さが想像できました。そして介護ロボットという存在がもし生まれれば、どれだけの人が救われるのだろうとも感じました。
ただ、この作品は超高齢化社会における介護ロボットの必要性を訴えた作品ではありません。むしろ介護ロボットがもし存在した時に、人々はどういう生活を手に入れるのか、どういう葛藤を感じるのか、どういうことが問題化するのか。人の方に焦点が当てられています。フィクションではありますが、非常にリアルな世界が描かれていました。
なかなか読んでいて胸がつまるような展開が続きますが、物凄く引き込まれてあっという間に読み終わってしまい…続きを読む