遠木ピエロ

まだ中学生で、狭い世界観しか持っていない主人公が、自然で、自由で、爽やかな人と出会うお話です。 主人公は対極の世界観を知る。自分が見えている景色なんかよりずっと世界は広いんだと教…続きを読む

放課後の教室で仲のいい男女がふたりの空間を作っている。そして落ち込んでいる男子。もう出だしすぐのこれだけで、甘酸っぱさでたまらなくなります。 ふたりの間で交わされる何気ない言葉の…続きを読む

非常に緻密な情景の描写は、景色だけでなく匂いやその場所にいる感覚すら自然と湧き上がってくるほどで、それをきっかけに話にぐいぐいと引き込まれていきました。 展開はネタバレもあるので…続きを読む

決まりきった時間に鳴る目覚ましのアラーム、これっぽっちも変わらない駅への道、機械仕掛けのような自分の行動、リプレイする退屈な毎日。 そんな生活の中でも、ほんの少しだけ角度を変える…続きを読む

桃太郎の二次創作とでも言うべきこの作品ですが、もはや二次創作の領域を超えて、作者様のオリジナリティに満ちた作品になっています。 桃太郎に、独特で、ある種の生々しさを持つ設定が加わ…続きを読む

なんというか、読み手が何を考えているかを完全に見透かした上で、もっとも効果的な手段で心を揺さぶってきた、というのが読了後の印象です。 この物語は常にどこか不穏な空気をまとい続けま…続きを読む

語り口調でつづられるこの作品は、タイトルの通り皮肉にあふれています。 人間のエゴ、独善性、強欲、利己主義、それらが様々な形でアオハトという鳥に対し襲い掛かります。それが皮肉たっぷ…続きを読む

水戸涼香という掴みどころのない女の子と、彼女に散々に振り回される主人公。 読者として主人公と一緒に振り回され、踊らされ、手玉に取られつつも読み進めていくと、そんな彼女の真意が見えて…続きを読む

そこに何があるかを描写する、いわゆる情景描写というのはややもすると退屈な印象を与えてしまうことがあります。やっぱり読んでいて面白いのは人の心の機微だからです。 ですが、この作品はそ…続きを読む

タイトルは読んでいて頭に浮かんだ言葉です。 「あんたは橋の下で拾ったんだよ」というのは私も子供の頃に親から言われたことがあります笑。どういう意図で言っていたのかさっぱり分かりません…続きを読む

登場人物たちがまぎれもなく生きている、というのが読み始めてすぐに感じた感想でした。思考、行動、セリフ、どれをとっても作り物のキャラクターとは思えないほど人間味を持っていました。 物…続きを読む

私は介護の経験はまったくありませんが、文章を読んでいるだけでその大変さが想像できました。そして介護ロボットという存在がもし生まれれば、どれだけの人が救われるのだろうとも感じました。…続きを読む

世界が終わるまで3分。カップラーメンができあがるまで3分。いや、あと3分で世界が終わるというのに、カップラーメンなんてどうでもいいじゃないか。 読者も、主人公以外の登場人物も、皆が…続きを読む

この作品は田崎結菜という、どこにでもいそうな普通の女の子のお話です。どこにでもいそうな中学生の女の子のありふれた日常が描写されます。 だからこそ、その身に起こる理不尽さが生々しくリ…続きを読む

この作品は主人公が玉川上水緑道を歩くお話です。展開自体はそれだけ。にも関わらず、あっという間に読み終えてしまうほどひき込まれる作品です。 もちろんただ歩くだけではなく、主人公の色々…続きを読む

苦しい時を支えてくれたものというのは、その苦しみを乗り越えてもなお自分にとって特別であり続ける。 たとえ支えてくれたものがどんなものであっても。 そういったものを、誰しもひとつは持…続きを読む

異形の子というタイトル、出だしの重い一文。それだけ見た時には異次元の話なのかと思いましたが、実際には異次元の見た目をした生々しい現実の世界が描かれていました。 最後の一文を受け取っ…続きを読む

もしも自分も人生攻略サイトを使えたら……？　どうするだろう。決められた道なんてつまらない、なんて言いながらも、結局は頼りきってしまう気がする。だって言うとおりにすれば成功が約束され…続きを読む

真っ直ぐな展開なのかと思って読んでいたら、話は二転三転。読みながら翻弄されるのがとても楽しかったです。 そしてちょっと背筋がゾクゾクするようなオチ。短いながらも感情を何度も揺さぶら…続きを読む

苦しくてたまらない。つらくてたまらない。そんな日々を送っている時に、ふと何かに救われる。 そうして救われた人は、また次の人に救いを渡す。渡された人はまた次の人に救いを渡して……そう…続きを読む

登場人物達のしていることは、決して許されるものではない。それなのに、その背中を強く押してあげたくなるのはなぜだろう。きっと私も、いや私だけでなくすべての人が、大なり小なり歪な世界の…続きを読む

ロンリーガール。孤独な女の子。こんな孤独を味わっている人がいたとしたら、と考えだけで胸が詰まる。淡々と描かれる日常からは、主人公の震えるような孤独が痛すぎるほどに伝わってくる。 孤…続きを読む

狸と狐。どちらも「化ける」生き物でありながら、その扱いは平等ではありません。かちかち山で酷い目にあう狸。手袋を買いにで人の温かさに触れる狐。どうしてだか人間は狸＜狐と扱いがちです。…続きを読む

悪意はないけれど空気は読めない、だからこそたちが悪い。そんな人との激しい（？）攻防（？）の中で吐露される主人公の皮肉に満ちた作品です。 自分が同じ目にあったらと考えると嫌になるけれ…続きを読む

約4,000字と短い作品ですが、文章の表現は濃厚で、とても読みごたえのある作品です。 呪撃黒点拳というオリジナルな拳法の登場する作品ですが、一風変わったその架空の拳法はきちんと説…続きを読む

ミステリーと言えば緊迫感あふれるものという印象ですが、この作品にはシリアスなシーンはあろうとも緊迫感はありません。その代わり友情、笑い、涙。そんな日常にありふれたもので話が構成され…続きを読む