水戸涼香という掴みどころのない女の子と、彼女に散々に振り回される主人公。
読者として主人公と一緒に振り回され、踊らされ、手玉に取られつつも読み進めていくと、そんな彼女の真意が見えてきます。
そうして結末で水戸涼香という人物を理解した時、味わえるのは「一枚の写真なんかで収まりきらない」彼女の思いの美しさでした。
すっと胸に落ちるようなその結末は、爽やかな読了感を味あわせてくれます。
この作品の文体は独特なシニカルさで満ちており、それが二人の関係性をより際立てています。
人物と文体とが違和感なく混じり合い作られた世界は、作者様の強いオリジナリティを感じました。