第50話 健一さんとお昼
真緒とVRアトラクションを楽しんだ後はお昼を食べるために本格的なチーズ料理のレストラン、チーズワーフへ来ていた。
ここは二階構成になっていて、一階は軽食で二階はレストランなのだ。
今回は本格的なチーズ料理が食べたいと真緒が言っていたので、ここに決定した。
「真緒何食べたい?」
「うーん、迷うっすけど、ここはチーズフォンデュっすかね。いや、このローストチキンラクレットチーズも捨てがたい…」
「ゆっくり選んでいいからね。俺はもう決まったから飲み物選んどくね」
「健一さんもう決まったんすか?」
「うん、俺はこの3種のチーズを使ったチーズハンバーグにしようかなって」
「おぉ、美味しそうっすね。どうしよう悩む…」
そう言う真緒はメニュー表をぺらぺらと捲り、どれにしようか悩んでいるようだ。
普段俺と居ると外食をしないのでこうやって一生懸命メニューを選んでいる真緒を見るのは新鮮で可愛い。
真緒が選んでいる間に俺は飲み物を選んでおかないと。
ビールにノンアル、ジュースからウーロン茶とドリンクメニューを眺めていた。
「健一さんは飲み物何飲むか決まったっすか?」
「ん?いや、まだ悩んでて…無難にウーロン茶にしようかな」
「今メニュー見てて思ったんすけど、健一さんってお酒飲まないっすよね」
「あー、俺がお酒に強くないってものあるけど」
「けど?」
「酔うとダルがらみしちゃうらしいから、真緒に迷惑かけないように飲んでないんだよね。あと匂いとか飲まない人からするといい気分じゃないと思うし」
「そうだったんすね。そう言う健一さんの気遣いは嬉しいっすけど、一度くらいは見てみたいっすね」
「まぁそうだな。真緒が見たいならいいけど。やるやら家でな?」
「それはもちろんっすよ!酔った健一さんを独り占めできる滅多にない機会なんすから!」
そういう意味で言ったんじゃないんだけどな。外で飲むと他の人に迷惑掛かると思うからって意味なんだよね。
まぁ真緒がそう言う解釈なら別に言い換える必要はないんだけど。
「それより真緒は何にするか決まったのか?」
「決まりましたっすよ。このミートフォンデュにするっす。なので飲み物どうしようか悩んでて…」
「チーズフォンデュって何が飲み物合うんだろうな」
「前、調べたことあるっすよ!赤ワインが合うらしいっすよ」
「真緒飲めないだろ」
「あ、そうっすね…」
「まぁ、真緒が飲める年になったら飲めばいいんじゃないか?」
「それいいっすね!その時、私が酔うとどんなふうになるか健一さんがちゃんと見ててくださいっすね?」
「いいけど、真緒の場合いつも以上に甘えてきそうだよな」
「そうっすかね?健一さんが嫌でなければもっと甘えるっすけど」
「そこはお好きにって感じかな。どんな真緒でも受け入れる覚悟はあるから」
「おお!じゃあもっと健一さんに甘えるっすね」
「あ、あぁ。良いぞ?」
いつも以上って適当に言ったけど、具体的に想像できない。今でも十分甘えられてる気がするし、距離だってめちゃくちゃ近いのに。
「よし決まりましたっす!」
「あ、あぁ。飲み物ね、何にしたんだ?」
「ジンジャーエールっすね」
「わかった。じゃあ注文するな」
「毎回すまないっすね」
「いいよ全然。人には得手不得手があるし、真緒に頼られるなんて滅多にないし」
恥ずかしながらいつも俺が頼りまくってるから、こういう時くらいしか真緒の役に立てないのは大人としてどうなのかと薄々感じてる事だから出来る事はやってあげたい。
もともと俺に出来る事なんて少ないからな。
その後は俺が注文をし、届くまで少しの雑談をしていると注文の品が届いた。
「おぉ、健一さんの美味しそうっすね。そのハンバーグの上に乗ってるそれなんすか?」
「えっと、ラタトゥイユ入りのパイらしい」
「ラタトゥイユ…どこかで聞いたことあるっすね。なんでしたっけ」
「あれじゃないか?この前、金曜ロードショーでやってたレミーの」
「あー、ネズミがシェフのお話しっすね!」
「そうそう、真緒見てたもんな」
「それで覚えてたんすね、納得っす!」
ラタトゥイユとはフランス南部の郷土料理でトマトをベースにした夏野菜の煮込み量の事を言うらしい。
そのまま食べるかパンと一緒に食べたりするみたいだ。
俺は今回初めて食べたが、美味しかった。
「健一さん美味しいっすか?」
「うん、美味しいよ。パリパリのパイに包んであるからトマトの酸味が丁度いい感じになって。ハンバーグと一緒に食べてもいいな」
「食べてみたいっす!」
「いいぞ、熱いから気をつけてな」
「はふはふ…ん!ほんとだ、美味しいっす!」
「そりゃよかった。そっちのチーズフォンデュはどうなんだ?」
「美味しいっすよ。ベーコンとかウインナーは食べた事あったんすけど、鳥と牛にこんな濃厚チーズを付けて食べた事無かったっすから、新鮮でいいっすよ。健一さんもどうぞっす」
「ありがと、どれから食べようかな」
俺と真緒は普段あまり食べない濃厚チーズ料理を堪能し、まだ少し足りないらしい真緒にデザートとしてジェラートを追加で注文した。
届いたジェラートを美味しそうに食べる真緒を見ていると、もっと何か美味しいものを食べさせてあげたくなる。
真緒は彼女ではあるが、妹みたいに可愛がりたくなる事があるからつい甘やかしてしまう。
いつか妹の涼香ともきちんと話して真緒と同じくらいには接してあげられたらいいな。もちろん恋人は真緒だけなので出来る事は限られるが。
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次回:第51話 健一さんと夜景 前編
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