第三章 提案
第26話 健一さんとしたい事
真緒と初めてをしてから一ヶ月が経ち、五月も終わろうとしていた。あれから変わったことは日常的に真緒とするようになった事だな。真緒は俺の思っていた以上に性欲が強く、毎回三回戦は余裕と言った感じだ。頻度も多く週に三回だったのが四、五回と徐々に増えている。
ここまで増えるのは単純に溜まっていたのが爆発したのか、学校や日常生活でストレスがあるのかと考えてしまう。真緒の場合ただ単に俺と触れ合いたいというのが強い気もするが。
まぁそんなことは今は置いといて、今日は真緒がテスト期間だと言うので勉強を教えている。
出会った最初は勉強が出来る事に驚かれていたが、一応大学を受けようとしていたのだからそれなりの学力はある。
あと俺は教えるのが上手なのか真緒の飲み込みが良いのか、勉強を教えるといつもテストの点数が上がったと喜んで見せてくれるから教えている俺としても苦だと思ったことはない。
そんな勉強の休憩中の事だ。
「健一さん」
「ん?」
真緒は愛してると言ってくれたあの日から俺のことを名前で呼ぶようなった。最初は慣れなかったが、前よりも真緒との距離が縮まったと思えば悪い気はしない。
「この一ヶ月ずっと書き溜めてて、やっと完成したんす」
「なになに?」
「これっす!」
そう言った真緒は鞄から一冊、A4サイズのノートを取り出した。学生のノートとは違い本革のカバーが掛けられていて日記か何かだろうか?と思っていると真緒が説明をしてくれるようだ。
「これはっすね、これから健一さんと一緒にしたい事リストっす。あの日私のしたい事を我慢しないで良いって言ってくれたっすよね。なので作ってみたんす、これから二人の思い出を作る為に」
「そうだったのか、見てもいい?」
俺が中を見てみたいと言うとハイっす!と元気な声で答えてくれ、ノートを見せてくれた。
中には目次、行ってみたい場所、してみたい事、撮った写真という欄があり、一項目見開きで左のページには行った場所、した事や楽しかった事の感想を真緒と俺とでそれぞれ別れている。右のページは写真を貼るページのようだ。
こういう形に残るものを作りたいというのは俺がアルバムを作ろうと言ったからかな。口だけの感想はすぐに忘れてしまう、だから真緒は一か月もかけて作ってくれたのだろう。凄く嬉しいな…
「今は私のしたい事しか書いてないっすけど、ルーズリーフなので後からでも追加できるようにしてるっす。やりたいことが増えたらまた、目次の次のページあるこのページに追加していくっすね」
「あぁ楽しみだよ。じゃあさっそく何か出来るものはあるかな…?」
そう言って『健一さんと一緒にしたい事』というページを開き、箇条書きになっている文字を見ていく。
「お出かけ、遊園地デート、文化祭、夏祭り、海、プール、二泊三日の遠出の旅行…」
と時期関係なく行きたい場所やしたい事をつらつらと書いてあった。そして最後の文字に俺は目を止めることになる。そこには、
「同棲したい…か」
「あ、はい。憧れっす」
俺も付き合い始めて考えたことはあった。これまで真緒は実家から距離のあるこの家まで毎日通って、学校にも行って…負担じゃないだろうかと。俺も電車賃や生活費(おこずかい込み)としていくらか出しているし、金銭的な問題はないと思っていたが。
やはり、時間的束縛は耐えがたいものだろう。俺だって真緒といる時間が増えるのなら一緒に住みたい。でもそれは妹にバレる可能性が上がることを意味している。
前までの俺なら即拒否していただろうが、今の俺たちは恋人同士。同棲しても何の問題もない、となれば真緒のご両親に許可を取れば一緒に住むことも可能だな。
「よし、真緒が良ければ一緒に住もうか」
「え!?いいんすか?そんなあっさり…てっきりダメって言われるかと…」
「そうだな、これまで俺がいつも拒否してきたから反射的にそう思うのも無理はないと思う。でも言っただろ?真緒のしたいことは叶えたいって、こんな普通の俺を一年も支え続けてくれた真緒にこれ以上ダメなんて言いたくないしな」
俺にはダメなんて言う資格はない、あの時流した真緒の涙は多分我慢をさせ過ぎたから出たものだと俺は思っている。まだ成長仕切っていない女の子に無理をさせて、望んだことも十分にしてあげられなくて。情けない自分を殴りたいくらいだ…
「だから真緒、両親がいいっていうなら今週からでも一緒に住まないか?」
「住みたいっす。すぐに連絡するっすね」
そう言った真緒は嬉しそうにスマホで同棲の許可を取っている。
しばらくすると先ほどより気分を高揚させ、「許可出たっす!」と俺に抱き着いてきた。嬉しさのあまり真緒にキスをすると真緒もお返してくれる。
「えへへ…明日、荷物を取りに行って明後日からこちらでよろしくお願いするっす。凄く楽しみっす!」
「そうだな、俺も楽しみだよ。一日中真緒が傍に居てくれるそんな日々が待っていると思うと今日はなかなか寝付けそうにないな」
「ふふ、それは健一さんからのお誘いっすか?」
「それもいいかもな、するか?」
「したいっす!なんなら今からでもいいっすよ?」
「今は勉強の休憩中だから夜まで待っててね…その代わりに…」
真緒の唇にまたキスをした。何度もしているのに、真緒に対してはいつでもしたくなる。挨拶と一緒位には真緒も抵抗感をなく嬉しそうに受け入れてくれる。幸せだな
「じゃあ勉強再開しようか」
「わかりましたっす…あっここ分からないっす」
「どれどれ…?」
と勉強を再開しこれからの同棲に期待感を込めて真緒との時間を過ごすのだった。
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