第10話 お兄さんと夜更かし②真緒side
私は今お兄さんと手を繋いで肩の触れ合う距離で一緒になって映画を見ています。内容はホラーですが、私の心では甘酸っぱい青春の恋物語が流れている気分です!横でお兄さんが震えていなければ…
でも今すごく気分が高揚しています。暗い部屋の中密室で男女が肌と肌を触れ合う…これぞ私の望んでいたもの!少し恥ずかしいけど…
いつか大っぴらではなくてもこうやって手を自然に繋げる関係になりたいなぁ。
お兄さんの横顔を見ると、怖がりながらもホラー映画をしっかり見ているのがわかる。
多分感想を聞かれると思って無理をしてでも見てるのかな、そういう優しいところも好き。
私のご飯をいつも美味しそうに食べるお兄さんが好き。
私が不安になってる時いつも抱きしめてくれるお兄さんが好き。
好きとは言ってくれないけど傍に居てくれるお兄さんが好き、私の気持ちが日に日に大きくなっていくのを感じる。もう抑えられないほどに。
初めて出会った時はお兄さんの事を少ししか知らなくていつか改めてお礼を言えたら、なんて考えていたけど今ではお兄さんの彼女になりたいって思ってしまう。
もう少し踏み込んでも大丈夫だろうか?映画に集中しているお兄さんの頬にキスでもしたらどんな反応するのかな?そんなことを考えてしまうのは深夜だからなのかな、いつもよりお兄さんを感じられているからなのかな。
わからない…でも今までの中で寝るとき以外に此処まで密着したことはなかったし、着実にお兄さんとの親密度は上がってるはず!
このままいけば本当に結婚も…
ってまだ早いか。でも着実に前には進んでる、親にも無理を言って旅館の跡取りをおろして貰って妹にも迷惑をかけてる。だから、この恋を絶対に掴むんだ!
奏功していると映画が終わり、エンドロールが流れ始めた。お兄さんも落ち着きを取り戻している。
「ふぅ、怖かったけど。意外と面白いもんだな」
「ほんとっすか?じゃあ次もホラーっすかね」
「それはやめてくれ」
ふふっと自然に笑みがこぼれてしまう、こういうのを幸せっていうのかな。もしそうなら絶対に手放したくないな、お兄さんが私を拒絶しても好きになってもらえるまで傍に居たい。そう思えるほど私はお兄さんに夢中なのだろう。
そんなことを考えていると次の映画を選ぼうとしているお兄さんがいた。次はどんなの選ぶんだろ?
「お兄さん次は何見るんすか?」
「ん?そうだな一番人気のアニメ映画とかじゃないかな」
「いいっすね、どれっすか?…あー恋愛物っすか」
「みたいだな、見るか?」
「見るっす!」
お兄さんと恋愛物の映画を見るなんて夢みたい…映画を見ている間にそういう雰囲気になったりして…えへへ。
いつの間にか映画は始まり、半同棲をしている男女のお話が流れ始めた。
「なんか私達みたいな関係っすね」
「そうだな、どんな展開になるんだろ」
「多分ハッピーエンドっすよ」
「だろうな」
そんな他愛もない会話すら私としては楽しい。私もお兄さんとこの映画みたいに恋愛をしてみたいな。
「お兄さんは恋愛興味あるんすか?」
「ん?…そりゃ…あるだろ」
「それもそうっすよね、誰かしてみたい人とかいるっすか?」
「居る…な」
誰なのか気になる、私だったりしないかな。聞いてみようかなでもちょっぴり怖い、もし私じゃなかったら…
「だ、誰っすか?私っすか?」
「……う、うん…」
「え…マジっすか?」
ほんとに私!?それってもう告白じゃない!?ええ、なんか今日のお兄さん素直なんですけど。いつもならはぐらかすのに…でもまぁ嬉しい。
「じゃあ今度デ、デートしないっすか?」
「……」
なんで無言?したくないってこと?何、わからないどういう意図があるの?
「あのお兄さん?」
「……すぅ…すぅ…」
「あれ、寝てる…」
もしかして今の告白寝ぼけてただけ…あはは。悲しい…泣きそう。喜んだ私がばかだった。そうだよねお兄さんいつもダメっていうもんね、何かおかしいと思ったよ。
「むぅ、お兄さん起きてくださいっす!寝るなら一緒にベッド行きましょ!」
肩を揺らすが、起きそうにない。あれ、今この状態ならお兄さんを好きにできるのでは?キスだってできるし、脱がしてヤルことだって…
ううん、そんなの私は望んでない。一番欲しいのはお兄さんの気持ちだもんね。
でも、今してしまったら…どうなっちゃうんだろ
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