第11話 お兄さんと夜更かし③真緒side
お兄さんは今私と肩が触れ合う距離で手を繋いで寝ている、何をしても起きないだろう。じゃあ今したいことしちゃえば…そう思ってしまう。けど、それはお兄さんの気持ちに反するかもしれない。こうなったらお兄さんの気持ちを聞くべきだ。
「お兄さん!起きてくださいっす」
さっきより身体を強く揺らす、とお兄さの目が覚めて、
「……ん、うん?あれ、俺寝てたのか」
起きた。ここで鎌をかけてみようかな、ほんとの気持ちを知るために。
「そうっすよ、私とのデートどこ行くっすか?」
「ん?デート?なんのことだ?」
「え、私と恋愛したいって言ったじゃないっすか」
「……俺そんなこと言ったのか?本当に…?」
お兄さんはただただ困惑の表情をしている、でも聞きたいお兄さんの気持ち…
「本当っすよ?今からキスするっすか?いいっすよ」
「いや、ごめん…寝ぼけてたみたいだわ。忘れてくれ」
忘れてくれ、それって私の事どうとも思ってないってことかな。
この気持ちって私だけのものだったのかな…
そう思うとさっきまでの高まっていた私の気持ちが馬鹿みたいじゃん…
お兄さんはいつもこうなのに…わかってるのに、わかってるはずなのに…
どうしよう、目が熱い…
「真緒?大丈夫か?なんで泣いてるんだ」
「……なんでも…ないっす…」
「なんでもないなら泣かないだろ?」
「お兄さんは私の気持ち何もわかってないっす!」
少し強い口調で言ってしまった。
ここで言っていいのかわからないけど…気持ちが溢れてきて、
「何のことだよ」
「私がずっとお兄さんに好きだって、好意を向けてるのにいつまでもいつまでも、はっきりした答え出してくれないじゃないっすか!どうしてなんすか…」
私は抑えきれない気持ちを、どうにか抑えたくて…抑えられなくて…
「お兄さんは私の事好きじゃないんすか…」
「……」
お兄さんは黙って俯いている。いつもそうだはっきりとしない、だからさっき寝言でも嬉しかった。聞かなきゃよかった、あのまま聞かなきゃ…
どれだけ時間が経ったのだろう、すごく長く感じる。もし、お兄さんが私の事好きじゃなかったら私はもう此処に来ない方がいいのかな…
もしお兄さんに好きな人がいるのなら、私はどうしたらいいのかな…
そう思っているとお兄さんは何かを決心したように私の左肩を右手で掴み私の目をしっかりと見ている、その凛々しい瞳で。
私の好きなそのまっすぐな目…あの日私を助けてくれた時の目。
「真緒…俺だって気持ちを伝えたいよ、でもその前に聞いてほしいことがあるんだ」
「聞いてほしいこと?」
なんだろう、わからないでも聞いてみたい。それがお兄さんが私に踏み込めない理由なのだとしたら、今聞いてみたい。
「俺の過去について」
そう言ったお兄さんは少し暗い表情になった。
私の答えは決まってる…どんな過去だっていい、私は今のお兄さんしか知らないのだから、今のお兄さんが好きなのだから。もしどんな過去でもお兄さんへの気持ちは変わらない、だから…今のお兄さんの口から聞いてみたい。
「……聞くっす。お兄さんの気持ちを知れるなら」
「わかった。でも先に言って置く、妹とこれからも親友で居てくれよ」
そういうとお兄さんは神妙な面持ちのまま話をし始めた。
「そんな…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます