第9話 お兄さんと夜更かし①
真緒に髪を切ってもらい、真緒に作ってもらったご飯を食べたのち時刻を見るともう21時を回っていた。
「真緒、今日も泊まっていくのか?」
「そうするつもりっすよ」
「大丈夫なのか?。さすがに2日も帰ってこなかったら親も心配するだろ?」
「それも、そうっすね。今から連絡してくるっす」
そう言った真緒は、制服のポケットからスマホを取り出し電話をし始めた。さすがに立ち聞きするものと思い俺は仕事することに。だが一つの部屋ということあり、聞こえるものは聞こえるもので、
「あ、お母さん今日も泊まることにしたから…え、うんまだ彼氏じゃないよ!もう少しだから待ってて、うん。あと、今度旅館にその人も連れていくね。はーい、それじゃ。……お兄さん終わったす!」
電話で終わると元気な声で真緒は言った。
今変なこと言ってなかったか?まだ彼氏じゃない…もう少し…今度旅館に連れていく…うん聞き間違いだよな。
「お、終わったんだな…えっとそれで?」
「泊まっていいらしいっす!あと今度の旅行なんすけど実家でもいいすよね?」
聞き間違いじゃないようだ。もしかして両親とご挨拶しないといけないのか!?いやいやいや、流石にまだ付き合ってもいないのにそれは早い気も…うん、考えるのやめようか。
「あぁ、真緒に任せるよ。俺は仕事してるから、真緒も風呂入ってきたらどうだ?」
「そうっすね、じゃあ行ってくるっす」
そういうと真緒は風呂に入っていった。その間俺は仕事を何とか進めていると真緒が風呂から出てきたようだ。タオルで髪の水気を取りながら俺の机の前で足を止めると画面を覗き込んできて、
「お兄さん今日も過激なの描いてるっすね、おぉ…お胸大きいっすね。お兄さんは胸大きな方が好きなんすか?」
「うーん、俺は大きい方より小さい方が好きかな、可愛い服とかは小さい方がバランスとしてはいいからな」
「ほうほう、じゃあお兄さんは私の小さな胸でも興奮するってことっすね?」
「俺の話聞いてたか!?」
そんなかみ合わない話をしていると、仕事に集中できなくなりやむなく中止することに。持ち手無沙汰になった俺は真緒に寝るのかを質問する、時刻は23時。
「うーん、まだ眠くないっすし明日は学校休みなんで、お兄さんと一夜を過ごしたいっすね」
「普通に夜更かししたいって言えんのか!まぁ学校がないならいいけど…で何やりたいんだよ」
「ナニやるって!?さっき興奮してないって嘘だったんすか」
「あーはいはい、そういうのいいから映画でも見るか」
「むぅ、つれないっすね」
もう少しかまってほしかったのか少し不満そうな顔の真緒。
そんな真緒を置いて俺は外出時に使う仕事用タブレットを机の脇から取り出し、ローテーブルにタブレットを置きサブスク契約している動画配信サイトで映画を一緒に見る事に。真緒は俺の隣りに座ると、
「お兄さん何見たいっすか?」
「俺はホラーじゃなければ、なんでも」
「あれ、お兄さんホラー苦手なんすか?じゃあホラーで」
「真緒はさっきから俺の話を聞かないな。まぁいいよそれで、だが条件がある!」
俺はホラー映画を見るときにいつも誰かにしてもらっていたことがあるそれは――
「条件っすか?」
「怖いから、手を繋いでてくれないか?」
真緒はだいぶ興奮気味に縦に首を振っていた。そんなにホラー映画見たいのか?
そこまでホラー映画が好きなのは驚きだが、楽しんでもらえるなら少し怖くても我慢だな、そう思えるほどに真緒は嬉しそうな表情をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます