第66話 健一さんとBBQ ふふん、ちょっとしたコツがあるんすよ
俺と真緒はBBQの準備が出来たから、網を引き焼いていく。今回のメインはチーズフォンデュになるから網の端にチーズの入ったミニフライパンを置き徐々に溶かす。
チーズが溶けるまでの間、ネギタン塩やちょっとお高めのお肉やソーセージを焼いて準備が出来るまで待つ事にしよう。
「タン焼けたぞ、皿に入れるな?」
「おっ!ありがとうございますっす!健一さんも私の育てたタン食べてくださいっすよ、ほらほら」
そう言って隣に座る真緒は俺の紙皿にタンを入れて来る。俺もありがとうとお礼を言い、2人両手を合わせて「「いただきます」」と食前の挨拶を済ませると焼き立てのタンを口に頬張る。
「はふはふ、んーっ!!美味しいっす!やっぱり最初はタンっすね」
「そうだな!それにしても真緒タン焼くの上手くないか?丁度いい柔らかさでネギも全然零れてないし」
「ふふん、ちょっとしたコツがあるんすよ。見ててくださいっすね」
真緒は自慢げに鼻を鳴らすとネギタン塩の焼き方レクチャーをしてくれるようだ。
「まず、焼く網なんすけどこっちの網目の細かい方で焼いていくっす。こっちの網だとタンの形を保ててネギが零れにくいっす」
「ほへぇ、全然気にしてなかったわ」
「まだあるっすよ、トングでネギを包むようにタンを2つに折るっす。後は片面ずつ焼いていくだけっすね」
「え、その焼き方だと中の方に火が入らないんじゃないのか?大丈夫なのか?」
お肉ってちゃんと焼かないと危ないイメージあるから、さっき俺はネギをどかして両面きちんと焼いたんだけど、真緒は違うようだ。
「大丈夫っすよタンは薄いっすからね。軽くトングで抑えてあげると中まで火が入るっす!それで次なんすけど、片面に焼き目が付いたらひっくり返すっす」
真緒はそしてと続ける。
「一度中に火が通った確認するっす。この時にネギの状態も見るっすね、直接焼いている訳じゃないっすからね。ネギがしんなりしてるくらいになったら、食べ頃っす!健一さん食べてみてください」
「うん、んっ!!うまっ!何これウマ過ぎ…」
さっき食べたのも美味しかったが、これは一枚だけに集中して焼いていたからか焼き加減からネギの舌触りまで完璧だ。
真緒はやっぱり料理に関してはずば抜けた才能がある気がする。家で焼き肉をするのは月に1度のくらい。外でなんてする事ないから炭で焼くのに慣れていないはずなのに、それをまるで感じさせない程完璧な腕前。
「真緒は料理の道に進めば上手く行けそうだよな」
「えー、そんな事ないっすよ。私は食べて欲しい人以外には本気で料理しないっすから」
「何その変なプロ意識」
「私は健一さんの美味しそうに食べる顔を見る為に料理頑張ってるっす!他の人に喜んで貰えても満足いかないっすから、料理人は無理っすね」
真緒には真緒のこだわりがあるらしい。俺からしてみれば只々嬉しい事でしかないからいいんだけど。
「そう言う事なら俺からはもう何も言えないな、純粋に真緒が俺の為にしてくれるのは嬉しいし」
「えへへ、そうっすよ?だから、これからも私に健一さんのご飯を一杯作らせてくださいっすね。私の楽しみの一つなんすから」
真緒は今日一の笑みを浮かべ俺の顔をまっすぐ見てそう言って来る。
「俺の顔でよければ好きなだけ見てもらって構わないよ。真緒の満足いくまで好きなだけ」
「ふふ、そうさせて貰うっすね」
そんな会話をしつつ真緒はお肉を焼いていく。暫くして網の端に置いていたチーズの入ったフライパンからこぽこぽと心地よい音が聞こえて来る。
「真緒、チーズが溶けたみたいだぞ」
「お、メインディッシュっすね!それじゃあこっちのお肉焼いていくっすね」
そう言う真緒はチーズフォンデュ用に買ったお肉たちを焼き始めた。
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ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回:第67話 健一さんとBBQ やるっす!いや、やりたいっす!
応援、☆☆☆レビューよろしくお願いします!励みになります。
新作始まりました!
『傷心中に公園で幼馴染の妹を段ボールから拾ったら、めちゃくちゃ世話してくれるようになった』
https://kakuyomu.jp/works/16817330662341789174
甘々作品なので気になれば是非読んでいただければ幸いです!
ちょっとした報告なのですが、これからは
『傷心中に公園で幼馴染の妹を段ボールから拾ったら、めちゃくちゃ世話してくれるようになった』と
『ブラコン妹の親友が、妹に隠れて部屋にいる話』
計2作品を1日ずつ交互に投稿しようと考えております!
リアルが忙しくなりそうなので、理解していただけると助かります!
ではこれからもよろしくお願いします!
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