第28話 健一さんと憧れのあれをする

 今日は真緒と同棲を初めて翌日の朝、可愛い寝顔を見ながら起床した。昨日の夜は激し目で真緒の首筋に赤い跡を付けてしまい、朝目が覚めて消えていることを願ったがハッキリ残っている。


 真緒も普通に学校があるし、こればかりは申し訳ないなと思いスマホで時間を確認すると五時過ぎ。まだ時間に余裕はあるが、いつもなら真緒が起きている時間なので起こしてあげることに。


「真緒、起きて?」

「……ん、まだ…」


「真緒、起きないと…」


 起こそうと頬を触ったり軽く肩を揺らすが熟睡中らしく一向に目を覚ます気配がない。こうなったらあれしかないな…


 俺は真緒の耳に顔を近づけ、ハムッと甘噛みすると、


「あっ…」


 と言う艶めかしい声を上げて身体をビクッと震わせた。真緒は耳が弱いみたいで、耳元で囁くといつも顔を赤くするから可愛い。それに息を吹きかけるのではなく噛むと体が自然と反応してしまうようだ。


「け、健一さん…だめ…」


 真緒は起きたらしく、顔を執拗以上に俺の胸に埋めてきて抗議し始めた。

 その反応が可愛いと思い少し意地悪をしたくなる。


「何がダメなのかな?言ってくれないと分からないよ」

「むぅ、健一さんにされるとあ、朝からしたくなっちゃうっす…」


 お、おう。その反応にはびっくりだ、俺もしたくないと言えば嘘になるが流石に学校がある日にするのは…だめなのかな?ちょっとしたくなってしまった。


「きょ、今日は学校がある日だろ?朝からは…」

「健一さんが私を誘ったんすよ?責任は取ってください…ほら、健一さんも準備出来てるじゃないっすか…」


 真緒は顔を上げ赤らめつつも、俺のモノの触りながらそう言ってきた。

 俺も限界ではあるし、いいよな?


 その後は真緒の勢いに負け、朝からしてしまった。


*****


 今は真緒も満足したのか、嬉しそうにキッチンで朝食の用意とお昼の弁当を作っている。やはり、制服にエプロンと言うのは実にいいな。一度写真に収めたくなる可愛さだ。


 そんなことを考えながらローテーブルの前に座り真緒を眺めていると、視線に気づいたのかこちらを振り返り、少し微笑み手を振ってくれる。俺も手を振ると鼻歌を歌い作業に戻った。何この子めちゃくちゃ可愛いんだけど!?


 朝からあんな笑顔見せられたら、お兄さん何でもしてあげたくなっちゃう。現役JKと触れ合う為にお金を払うパパさんの気持ちが少しだけ分かった気がする。

まぁ俺には真緒という最高のお嫁さんが居るけどな!


「健一さん、お待たせしましたっす」

「ううん、全然待ってないよ。真緒の朝食食べられるだけで幸せだし」


「えへへ、これからは毎日作ってあげられるっすからね。楽しみにしてて下さいっす」

「あぁ、楽しみにしてる」


 こんな幸せな毎日が過ごせるのなら、同棲をしてよかったなと思う限りだ。


 その後は真緒と朝食を食べ、軽くお話をする。内容としては近くに美味しい苺タルトを売っているカフェが出来たらしく、今日一緒に行かないかと言うものだった。


「いいよ、一回帰って来てから行く?」

「えっと、出来たばかりで人も多いっすから。一六時に駅前でもいいっすか?」


「うん、わかった。楽しみにしてるよ」

「私も楽しみっす!健一さんと初めてのお出かけっすからね!」


 そういえばそうだった、一か月前も行こうと言っていたのに結局中止になったし、今回ばかりは楽しみたいな。真緒も楽しみみたいだし、少しだけ多めに財布を厚くしておこう。


 雑談交じりの会話をいくつかしていると、真緒が家を出ないといけない時間になってしまった。少し名残惜しい気もするが仕方ない。


 玄関までは見送りをするよといつものように外に出て「行ってらっしゃい」を言おうとしていると、真緒が行く前にしたいことがあるらしく話しかけてきた。


「健一さん、私行ってらっしゃいのキスが欲しいっす!憧れっす」

「え?急にどうして…」


 別にすることに対して疑問を持ったのではない。付き合い始めてこれまでも泊まったことは何度かあったが、こんな要求をしてきたことはなかったのだ。


「えっと、私達一緒に住むことになったっすよね。なので、ここが帰ってくる場所なんだと分かるように毎日…そのして欲しいっす」


 一緒に住むようになった証と言うものが欲しいと言う事なのかな。俺はいいよと言う意味を込めて真緒の唇に触れるだけのキスをした。


 顔が離れると、嬉しかったのか胸に抱き着いて来て今度は真緒からキスしてくれる。俺も真緒の腰に手を添え、もう一度キスしようとするが時間が時間なので諦めることに。


 真緒はしてもらえると思っていたのか少し寂しそうな顔をしてくる。そんな顔を見せられたら、やめるのが申し訳なくなり「これが最後だから」と言って真緒にキスをした。


 顔を離すとまだし足りないのか唇に一刺し指を当てこちら見ているが、心を鬼にして真緒を学校に向かわせる。真緒は少し歩いた所で振り返り、


「帰ったら、続きしてくださいっすね?」なんて言うのだから、俺の彼女は可愛い。


 そんな可愛い彼女に同意の意思を伝えるために笑顔で手を振ってお見送り。


 今日も一日頑張れそう!デート楽しみだなぁ…



























「へぇ、これは涼香ちゃんに報告かしらね…いや、もう少し様子を見るのも…ふふ」


 そんな朝のやりとりを見ている人が居たなんて今の俺達は知る由もなかったのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


次回:第29話 健一さんに知っておいて欲しかった事

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