第57話 健一さんの誕生日 朝

 昨日は真緒と一緒に早めに就寝し、目を覚ました。


 隣では裸の真緒が可愛い寝息を立てて眠っている。夏休みまでバイトをするとのことなのだが、今日は特別に休みにしてもらったらしい。


 俺の為にここまでしてくれる真緒が好きだ。求められている実感があるから、傍から離れたいとは思わない。


「健一さん…すぅ」


 寝言で俺の名前を呼ぶ真緒を見て、少し触れたくなる。そのぷにぷにのほっぺに手を添え撫でるように動かすと、猫のように顔を摺り寄せて来て安心したように顔を歪ませた。


「可愛いなぁほんと」


 真緒の寝顔はいつ見ても飽きる気がしない。このすべすべの頬を撫で続けると真緒の口が小さくパクパクしているのが見えた。


 俺は興味本位で人差し指を口に近づけ柔らかい下唇に触れると、小さな口が閉じてしまう。


 変に動かして起こしてしまうのも勿体ない気がして、指を動かさずにそのまま放置していると、指先からどんどん生暖かく湿った感触が広がってくる。


 始めは爪辺りまでだったのが、今では第一関節付近まで。


 この後どうしようか。


 抜くこともできないし、これ以上奥に入れる事も出来ない。指を増やすか?いやいやそんなことをしたら絶対起きる。


 ここは放置だなと様子見することに。


 だが微動だにしない真緒。これはどうゆう状況なんだ、そう俺は思ってしまい真緒の口に入っていないもう片方の手で真緒の頬を再び撫で始める。


 やはりすべすべしていて健康的な素肌は触っていて落ち着く。


 真緒も触れるのが好きなのか頬に触れた途端、ちゅうちゅうと音を立てて俺の指に吸い付いてくる。たまに舌が触れて、こそばゆい。


「真緒、起きてないか?」


 そう言うと体がビクッと震え、少しずつ目を開けだす。


「お、おはようっす健一さん」

「おはよう。やっぱ起きてるじゃん」


「えへへ、可愛いって言われた時には起きてたっすね」

「結構前な気がするけど…まぁいいや事実だしな」


「照れるっすね、えへへ。でも健一さん寝てる人の口に指を入れるのはどうかと思うっすけどね」

「あ、いや。パクパクする口が気になってつい出来心というか…で、でもそれを言ったら吸い付くのもどうかと…」


「うっ…も、もういいじゃないっすか。それより朝のしないっすか?」

「あぁ、不毛なやりとりだしな。じゃあするよ」


 そう言うと真緒は目を瞑り顔を近づけて来る。


 俺も顔を近づけ真緒の柔らかい唇にそっと唇を重ねると、背中に手が回され口の中に柔らかい物が入って来た。


 舌を絡ませてくる真緒の背中に手を回し、こちらからも舌を絡ませる。


 暫く身体を寄せ合い深いキスをしていると、


「健一さん今からしないっすか?私したくなっちゃったっす…」


 顔を離し口から銀の糸が布団に垂れるのを感じながら、顔を赤くする真緒がそう言ってくる。


 すこしムラ付いた気分で真緒に覆いかぶさる様に上からキスをし、首から鎖骨…と手を這わせていく。


 胸の辺りに手を滑らせると、真緒の身体がビクッと震える。


 もう我慢が出来そうにない俺は、朝からしてしまうのだった。



*****



「ふぅ、満足っす!」

「それならよかった。俺は少し疲れたけどな」


「わわ、すまないっす。今日健一さんの誕生日なのに…」

「いや良いよ、真緒が楽しそうにしてるのが俺にとって一番のプレゼントだから」


「健一さん…」


 真緒は俺の名前を呼ぶと再びキスをしてくる。


 ソフトなキスで今の真緒の気持ちを表しているようだ。


「今日は良い誕生日にするっすね」

「うん、楽しみにしてる」


 そう言い、真緒ともう少しだけベッドの上で触れ合うのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


次回:第58話 健一さんの誕生日 昼


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