第63話 健一さんと海デート! 何見てるんですか…

 健一さんが水が苦手だと初めて知り、遊ぶより少し休憩しようと言う事で私は健一さんの腕にくっ付き海の家に来た。まだお昼という時間ではないし、多少熱いので何か飲みたい。


「真緒、何かいるか?」

「えっと…飲み物が欲しいっすね」


「飲み物か、真緒って炭酸大丈夫だったよな」

「そうっすね。こういう熱い時はくっと喉に刺激のある物が飲みたくなるっすよね」


「わかるわー、夏になると無性に飲みたくなるよな。あとアイスとか」

「おっアイスもいいっすね!アイス食べたいっす」


 健一さんがアイスなんて言うから食べたくなってしまった。飲み物だけにしておこうかと思ったけど無理そう。


「健一さんはアイス食べるっすか?」

「んー真緒が食べたいなら俺も食べようかな。ここ色んな種類あるみたいだし、お互い好きな味選ぼうよ」


「いいっすね。じゃあ私は…」


 健一さんの隣に立ち、壁に掛かったメニュー表を見て選んでいる。アイスかサイダーか、どちらも欲しいけど…って何あれ?


「健一さんあれにしないっすか?」


 そう私が指を差すと健一さんが少し微笑みいいよと快く言ってくれる。


「じゃあ私、パイナップルにするっす!健一さんは?」

「俺は、そうだな。マンゴーにしようかな。真緒嫌いじゃないか?」


「大丈夫っすよ!」


 その後は健一さんに注文してもらい、注文した品来るのを待っているのだけど健一さんは少し挙動不審気味に目を動かし前列に居る人の方を見ている気がした。


 健一さんの視線の先には、綺麗な水着のお姉さんが立っていてなにやら顔の下をチラ見している。私もそこに見ると、豊満なお胸へとたどり着いた。


 なんだか無性に腹が立ち健一さんを睨むが、視線はそちらに夢中だ。彼女が隣にいるっているのに他の人を視姦するなんて何を考えているんだろう。


 私の殺意の視線に気づかない健一さんのお腹に手を近づけ力一杯お肉を摘まむ。


「痛い痛い!?真緒何するの!」

「健一さん正直に言ってくださいっす、今何見てるんですか…」


「え…いや、えっと。真緒、何か勘違いしてないか?」

「あぁ?」


「怖いから真緒睨むのやめて!」

「健一さん、私は質問してるんですよ。さっき何を見てたんすか?」


 私はお腹のお肉を摘みながら健一さんに詰め寄る。健一さんが何か言い訳をしようとしているのは分かっているから、正直に言って貰わないと…。私という物がありながら他の人の胸を見るなんて許せるはずがない。


 少し経ち健一さんの言葉を待っているのだが、なかなか口を開かないので摘まむ力をより強くすると先程よりも痛そうに顔を歪ませる。


「真緒…ご、誤解だから摘まむの辞めてくれないか。滅茶苦茶痛いから」

「早く言ってくれたら摘ままないっすよ」


「わ、分かったよ!水着、水着見てたんだ」

「水着?」


 私の想定していた返答と違い、つい聞き返してしまう。


「あ、あぁ。真緒も見てみろよ、あの人の水着この前アニメ化もした人気ゲームで新規実装された奴に似てないか?真緒もやってるだろ」

「そう言われるとそうかもっすね」


 健一さんが言っているのは最近人気のRPGゲームで可愛い女の子達が様々な武器を持ち、繊細な操作が必要でキャラ売りというより難しい戦闘が売りのゲーム。私もやっているので健一さんの言っている新規実装されたキャラは知っている。


 それを踏まえて前列の女の人を見ると、実に似ている水着を着ていた。胸から伸びた紐は首に付けた黒いチョーカーと金色のリングを経由して一本で繋がっている。このリングは作中キャラが武器として使っている物。大きさを変形させくるくる回しながら戦闘する現在最難易度として挙げられているキャラで私が愛用してるキャラだ。


 この前健一さんが一度『このキャラの水着後ろが見えないけど、これちゃんと繋がってるのか?』と言っていたのを思い出す。


「健一さん私の勘違いでした、ほんとすまないっす!」


 私は健一さんに自信が勘違いで酷いことをしてしまった事を反省し謝罪する。これは健一さんからお叱りを貰ってしまう。と思っていたのに、私の頭に手を乗せ安堵した表情でこっちを見ている。


「いいよ、真緒の勘違いだとしても誤解を生むように事をしたのは俺の責任だし。流石に摘ままれたのは痛かったが。まぁ喧嘩にならなくてよかったと思うよ」

「健一さん優しすぎっすよ…」


 私は健一さんに抱き着き見られないように顔を埋める。今、絶対顔赤くなってるから。


「真緒、恥ずかしいんだけど…」


 そう言う健一さんの言葉は今の私には届かないのだった。



*****



 空いている席に注文した品を持って来て座る。


 さっきは急に真緒が抱き着いて来てビックリしたが、いつもの事なので慣れつつあるのがもう怖い。


 俺達が注文したのは、サイダーの中にゴロゴロと果実の実は入っており、上からアイスを乗せている飲み物。真緒は席着くと喉が渇いていたのかすぐに刺さっているストローで飲みだす。


「おおーパイナップル…美味しいっす。健一さんの方は?」

「こっちも美味しいぞ。マンゴーが崩れてサイダーと一緒に入って来てさ。真緒のも味見させて?」


「どうぞっす、私も貰うっすね」


 そう言って俺はマンゴーの果実が入ったサイダーを真緒に渡す。俺が飲んでいたのはサイダーの中でマンゴーの実が崩れ、ストローから入りシュワシュワのサイダーとマンゴーの濃厚でコクのある甘みが口の中全体に広がっていく。


 上に乗っているアイスもバニラにマンゴーのエキスが混ざっているのかほんのり香りがして美味しい。


 対照的に真緒のパイナップルサイダーは、中にナタデココが入っていてフルーツポンチのような。フルーツポンチなんて食べたの中学の給食以来でちょっとだけ懐かしさを感じた。


「健一さんマンゴーの方も美味しいっすね!」

「あぁ、パイナップルも美味しいな。家でもたまに欲しくなるかも」


「家でっすか…これ作れないっすかね?」

「さぁ、どうだろうな。材料さえあれば出来るんじゃないか?」


「じゃあ、今度作ってみるっすね!」


 そう言って笑う真緒はさっきの事が無かったのかなと思う程可愛らしい笑顔をしている。だが、正直なところ水着よりも胸見てたなんて今更言えないよな…そんな事を考えながら真緒と楽しく休憩を謳歌するのだった。


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ここまで読んでいただきありがとうございます!


次回:第64話 健一さんと海デート! 晩御飯どうするっすか?


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こちらも甘々作品なので気になれば是非読んでいただければ幸いです!

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