第22話 お兄さんとお風呂

 俺は真緒と明日の計画を立て夕食を食べた後風呂に入ることにした。この旅館のお風呂は部屋に1つ露天風呂が付いていて夜には綺麗な星が眺められるらしいのだが、曇っているのか星一つ見えない。


「明日は雨かもな…」

「そうっすね…晴れてくれたらいいんすけど」


 俺と真緒は今一緒に風呂に入っている、どうしてこんな状況になったのか…それは夕食を食べている最中の事。


 俺と真緒は瑠々華ちゃんが持って来てくれた山菜の天ぷらに舌鼓を打っていると、対面に座る真緒が少し落ち着かない様子で話を振ってきた。


『お兄さん、今日の朝言っていた事覚えてるっすか?』

『ん、朝?俺何か言ったか?』


『私が目が覚めた後にお兄さんが私を抱きしてめて『俺にできる事ならなんだって…』って言ってたじゃないすか、なのでちょっとお願いしたいことがあるっす』


『言ってたな。まぁ、大抵の事ならなんでも…でご飯でも食べさせてほしいのか?』


『それも魅力的な提案っすけど、今回は違うっす!』

『何でもいいから、早くしてくれ。ご飯食べたい』


『むぅ、じゃあ言うっすけど。食後のお風呂一緒に入ってほしいっす』

『…………拒否権は?』


『無いっす』

『まじか…』


 こうして今に至ると…正直真緒も俺もタオルで大切な所を守っているとはいえ、お互いに裸も同然なわけで俺は内心めちゃくちゃドキドキしている。何もありませんように…


「話変わるっすけど、お兄さん…瑠々華の事どう思うっすか?」


 ん?真緒の妹の事か、どうと言われても…可愛いって素直に言えばいいのか?いや、なぜか不機嫌になりそうな予感しかしないから別の事を言うか。


「うーん、いい子っぽいよな仕事もできそうだし。見た目も綺麗だったし」

「ふぅん、お兄さんは瑠々華の事好きなんすか?」


 多分真緒は旅館に着いたときに俺が瑠々華ちゃんを見習えと言ったから、瑠々華ちゃんの容姿に少なからず好感を持っているのではと不安になったのかもしれない。まぁそんなことは無いのだが。


「なぜそうなる…俺は一目ぼれしたりはしないぞ?」

「そうなんすか?てっきり中3とは思えぬあの大きな胸に誘惑されてるのかと…」


 瑠々華ちゃん中学3年生だったのか…高校生かと思ってた。

 瑠々華ちゃんの胸は確かに大きかった。真緒はAAカップ…いやもっと小さいかも…瑠々華ちゃんのはFくらいは有りそうだったな。着ている着物からでもわかる大きさは真緒と姉妹とは考えられない…


 改めて思うが、俺は大きな胸はそこまで好きではない。目のやり場に困るというのもあるが、シンプルに相手を性的に見てしまって罪悪感が押し寄せるからだ。

 それから断固として貧乳派なのだよ。あと俺は見た目より中身で選んだ方がいいということを真緒で学んだからだ。生活力皆無な俺に此処まで尽くしてくれる彼女はそうそう居ないからな。


 だから真緒に誤解が無いように言って置かないといけない、朝の決意も兼ねて。


「俺は真緒の事を見た目で好きになったわけじゃないから、そこは安心しろ」

「安心?どういう意味っすか?」


「つまりだな、ずっと傍に居たい…そう思えたから好きになったんだ。だから、安心して俺の傍に居ていいし、ずっと傍に居て俺を安心させてくれ…そう言いたいんだ。恥ずかしいから言いたくなかったんだがな」


「そ、そうなんすね…へへ、わかったっす。ずっとお兄さんの傍に居るっすね…」


 そういった真緒は恥ずかしそうにしながらも、俺の右肩に寄り添ってきた。柔らかく暖かい真緒の肌を感じながら、空を見上げるがまだ雲のせいで星は見えない。


「明日晴れるといいな…」


 俺はそう呟いて逆上せる一歩手前まで真緒が隣にいる安心感に浸っているのだった

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