第61話 健一さんと海デート!日焼け止めを塗ってもらう
「健一さん、海っすよ!早く入りたいっすね」
「そうだな、楽しみなのは分かるけどまずは準備運動だ。しないと俺が溺れる」
真緒に2週間寝る前に宿題漬けをさせたおかげで今日は思う存分遊んでも提出には問題ないだろう。寧ろ一週間くらい自由に遊べる時間が出来そうなくらい。
今は真緒が修学旅行時に言っていた1泊2日で海デートに来ている。ここは家から少し離れたところにある遊泳自由な海水浴場。
夏休みという時期も相まって沢山の人でごった返している。万年引きこもりの俺は今すぐにでも帰りたい気分。
強い日差しの中、陽キャの巣窟のようなこの場所は仕事ができないことを含め地獄である。
どうして仕事が出来ないのかというと、家を出る直前に真緒が『えぇ、せっかくの遊びなのに仕事道具持って行くんすか。たまには羽を伸ばさないとっすよ』と不機嫌気味言われたので持ってきてはいない。
真緒の言う通り遊ぶために仕事を頑張ったのも事実、真緒も宿題を頑張ってくれたのだから一緒に楽しまなくては損をしてしまう。
「健一さんはほんと貧弱っすね。ちょっと身体を動かせば大丈夫っすよ」
「いやいや、こういう時にちゃんと準備運動しないと命の危険があるぞ。情けない話だが、子供用プールで足を攣って溺れかけた経験があるからな」
「ほんと情けないっすね…。でもそう言う事ならきちんとした方が良さそうっすね」
「すまんな、こんなだらしない人間で」
「いえいえ、普段から健一さんはカッコ悪いので今更驚かないっすよ。1年以上生活を共にしてきた者が言うんです間違いないっす!」
「あまり大声で言わないでくれ、事実だから恥ずかしいよ」
そんな皮肉めいた事を真緒に言われつつ準備運動をしていく。一応レジャーシートで自分たちの場所は確保できたがそこまで大きくはない。レジャーシートの傍で軽く準備運動をして次は海だろうかとも思ったが、こういう時に鉄板なのは勿論!
「浮き輪レンタルするの忘れてたっすね」
「え?あぁ、うん…そうだな。それよりも先にすることないのか?」
「?何かあったっすか?飲み物っすか?」
嘘だろ?海に来てまずする事と言えば一つしかないだろうに。真緒はぽかんと何を言っているのか分からないと言った顔をしている。
「真緒、日焼け止めは?」
「あ、忘れてたっす!」
「わ、忘れてたのね納得」
真緒の場合自分から言ってきそうな物なのに、まぁ忘れていたのなら仕方ない。そう思っていたのに…
「でも、そう言うの健一さんから言うのってなんか厭らしいっすね。もしかしてもうムラムラしてきたんすか?」
「ちげぇよ!?日焼けしたら後で体に響くかと思ったんだ。すぐそっちの考えに持って行くな!誰か聞いてるかもだろ」
「ふふ、そうっすね。気を付けるっす」
そう言う真緒はニヤニヤしてこちらを見ている。本当に分かっているのだろうか、そう思ってしまうが今は日焼け止めだな。
「それじゃあお願いするっすね。あ、こういう時って水着外すんでしたっけ?」
「外さなくていいよ。水着の上からでいいだろ」
「えーこういうのって外してドキドキするシチュエーションじゃないっすか?よくアニメで見るっす!こう、胸の大きな女の子が!」
自分の無い胸の前で弧を描くように虚空をなぞる。実にコメントしずらい事を……真緒は少し胸にコンプレックスを持っているのか巨乳を敵対視している気がするのに、たまにこういう振りをしてくるから困る。
「そ、そうだな。でもそう言うのは初々しい関係の時だけじゃないか?俺たちはもうとっくにその域は越えてるような…」
「それもそうっすね。でも、一度やってみたいっす!お願いっすよ健一さん」
これは多分好奇心とかの類だろうか。俺がどんな反応をするか気になるのかもしれないが、もう真緒の身体は穴が開く程見た。興奮はするから飽きているわけではない。
そうなると真緒の欲しい反応を俺がするのは多分昼間の今ではなく夜なのだろうとは思う。
そんなことを考えていると上着の白いシャツを脱ぎ、ふわっと透け感のあるレースが特徴の水着が現れる。下はデニム素材を使用している為普段見られない可愛らしい服でもカジュアルダウンしていつもの真緒って感じだ。とても似合ってる。
この水着は妹たちと選んだのだと、この前教えてもらった。
でも、買ったその日に『どうですか似合うっすか?興奮するっすか?健一さんがしたいなら着たままってのも…』と買ったばかりの水着の一番最初の使い道が泳ぐことじゃなくなりそうだったから丁重にお断りを入れてその日は普通にしたんだよな。
そのせいかあまり水着姿を見ていなかった。今改めてみると凄く可愛い。
真緒の華奢な体つきと綺麗なくびれ。普段から良く動くから変にお肉が付いていないのもいい。そして極めつけはこの触れた時のすべすべ感、白く美しい肌は触っていて飽きる事が無さそうだ。
「健一さん。日焼け止め塗らないでどうして私のお腹触ってるんすか?そう言うフェチっすか?」
「別にフェチではないが、真緒の白く綺麗な肌を今堪能してかないと日に焼けると黒くなっちゃうだろ」
「あれ、健一さんは褐色苦手っすか?」
「苦手ではないけど、真緒は白い方が似合うってだけだよ」
「それならしっかりと塗って貰わないといけないっすね!ほらほら健一さん私今からうつ伏せになるっすから紐解いてくださいっす」
そう言う真緒はレジャーシートの上でうつ伏せになる。真緒の事だ、しなかったら後で何を言われるか分からないから素直に聞いておこう。
真緒の首後ろで結ばれている紐を緩め肌から離す。カサッという音を立てて水着が真緒の元を離れる。
別に今からする行為は変な事ではないとは知ってはいるが、こう他の人が居る環境で真緒を脱がせているみたいでなんか嫌だな。
俺にしか真緒の身体は見せないで欲しいと少なくとも思ってしまう。こんな独占欲の強い人間がパートナーって疲れるよな、実際真緒がそうだし。
でも、好きだから別に不快に感じる事は無い。
「それじゃあ塗るぞ?」
「はいっす、いつでも大丈夫っすよ」
合意を貰い、日焼け止めを十分手に馴染ませる。そして、白く滑らかな真緒の背中に手を近づけ塗っていく。
触れた瞬間真緒の身体がビクッと震えたので、日焼け止めが冷たくて驚かせてしまったのではないかと思って少し申し訳なく思う。
「ごめん真緒、冷たかったよな」
「そうっすね、少しビックリしたっす。でも健一さんの手暖かいっすから気持ちいっすよ」
「そりゃ良かったよ」
そんなちょっとした会話をしていると背中を塗り終わり、下の方へ。細く柔らかい真緒の太ももに手を滑らせ、塗り残しをしないよう丁寧に手を動かしていく。
「はぁぁ、気持ちいいっす…」
そう言う真緒は本当に気持ち良さそうな声を漏らす。マッサージとか肩もみくらいしか経験無いから痛かったらどうしようかと思っていたがその心配はしなくて良さそうで安心だ。
暫く塗って、次は前側に入っていく。当然水着は付けていないので素肌に塗っていくのだが、一応確認はしておかなくては。
「真緒、触って大丈夫なのか?」
「何がっすか?」
そう真緒は不思議そうに質問を返してくる。
「いや、ほらいつも夜の時とか胸だけで…その、な?だからできれば自分でした方が良いのかなって」
「健一さん、私はいつも雰囲気で気持ちよくなってるんすよ。流石にこんな人の多い所でなんて無理っすから。そこは勘違いしないで欲しいっすよ」
「そ、そうなんだ。ごめん…」
俺は真緒の事を少し勘違いしていたようなので素直に謝罪する。普通に考えて今の質問は失礼だわ。
心の中でも反省をし、真緒の身体に万遍なく塗り水着の紐を結び直して終わりだ。
「健一さん、ありがとうございましたっす!次は私が塗るっすね!」
「うん、じゃあお願いしようかな」
そう言って俺もうつ伏せになろうと真緒に背を向けるととピタッっと背中に少しぬるっとしたものが当たる。
まぁ、お察しの通り後ろから抱き着かれている状況だ。
「真緒、何してるんだ?日焼け止め塗るんじゃなかったの?」
「もう既に塗り始めてるっすよ」
そう言う真緒は俺の背中に身体を隙間なく引っ付き密着してくる。少しずつ動いているので真緒の言う通り日焼け止めを塗っているのだろう。
でも、はぁ、普通に塗ってくれよ…隣のスペースに居る人からの視線が痛い。
「背中に抱き着くのもいいっすね…」
背中から小さく呟く声が聴いてくる。真緒がこれをしたいというのなら別にいいか、今は恥ずかしさを押し殺し全身隈なく塗ってもらうのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回:第62話 健一さんと海デート! 全力で此処まで来て欲しい
応援、☆☆☆レビューよろしくお願いします!励みになります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます