第4話 お兄さんの妹襲来!
チュンチュン
トン トン
俺は朝チュンと規則的に響く何かを叩く音で目が覚めた。
「ん~…」
「あ、お兄さん起きたっすか?」
声のする方にゆっくりと体を起こし目をやると、キッチンで料理をしているエプロン姿の真緒が立っていた。
「あーうん、今起きたところ」
「顔洗って来たらどうすっか?寝癖酷いっすよ。あと顔も」
「顔はいつも通りだ!でも、そうだなちょっと顔洗ってくる」
「は~い、その間に朝ご飯用意しとくっすね」
俺は真緒に言われたように寝癖直しと顔を洗いに洗面台へ。少し暖かい水が流れたからさっきまで真緒が使っていたのかもしれない。少し水を手で掬い顔に掛ける、それを何度か繰り返して目が完全に覚めた。
「うわ、すごい寝癖」
真緒が指摘するのも納得のいく程に俺の髪の毛は逆立っていた。多少簡単ではあるが寝癖を直し、歯磨きをしてから部屋に戻ると真緒がちょうど料理をテーブルに並べている最中だった。
「あ、おかえりなさいっすお兄さん」
「ん、ただいま。朝ご飯ありがとうな」
「全然っすよ!よく旅館の手伝いしてたっすからこれくらい朝飯前っすよ」
「だとしてもだ。いつもお世話になってるからな感謝だけはさせてくれ」
真緒は少し大きな旅館の元跡取り娘だったらしい。元の理由は聞いていない。
「律儀っすね、まぁそういう所も好きなんすけど」
「お、おう」
あまり真緒からの好きという言葉に耐性がない俺は少し照れてしまう。そんな俺に気づいたのか真緒はにへらと笑って満足そうにしている。そんな時だった、
ピンポーン!
俺の部屋の呼び鈴が鳴った。誰だ?とは思わないなぜならこの時間帯に来るのは誰かくらいは予想がつくからだ。
そう俺の妹(
呼び鈴が鳴った瞬間に俺と真緒は何が起きたのかを瞬時に察知し、すぐに臨戦態勢へ。
まず俺がとった行動は玄関に向かうことだ、妹が合いかぎを持っていることは知っているので勝手に開けられないように見張っておかなければならない。
それともう一つ、真緒の靴だ。それをすかさず手に取り小さな靴箱の中へ、この靴箱は最初は無かったが妹に真緒の存在がばれないようにと設置したものだ。
次に真緒だが、学生カバンなどを手に俺のベッドに向かい布団にくるまる、ただそれだけだ。真緒お前楽過ぎないか?正直思ってしまう。
そしてここからは地獄のお時間だ。
「お兄ちゃん開けて―――――!!!!!」 ドンッドンッ
「はいはい、聞こえてるから大声出すな!近所迷惑だろ」
鍵を開けると勢いよく扉が開かれ妹が俺に抱き着いてきた。
「すぅ…はぁ…すぅ…はぁ…」
「朝から兄の匂いを嗅ぎに来るのさすがにやめないか?もう兄離れしてくれ」
俺の妹は大体いつもこんな感じ。見た目としては茶髪ロングの正面から右側に可愛いクローバーの髪留めをして、顔も結構可愛い方だと思う。俺にはよくわからないが、よくモテるらしい(真緒情報)、だが妹には一つ大きな欠点がある。
「お兄ちゃんすきぃ…すぅ…はぁ…ほんと最高。お兄ちゃんの匂い朝から吸わないと私生きていけないかもぉ…すぅ…はぁ…たまんねぇなぁこれぇ」
などと実の兄に向って言ってくるレベルにやばいブラコン妹なのだ。
そして俺はこいつが嫌いだ。
「あー妹よ。今日なんか用事でもあるのか?ここに来るのは週に2回って言ってるだろ、今日で3回目なんだが?」
こういうのも家族公認のブラコンっぷりなので、俺は妹から離れるためにこのアパートに住んでいる。そして両親と話し合った結果、この部屋に来るのは週に2回までとルールが決まっているのだ。破ったら罰が下るらしい、内容は知らんが。
「えーそうだっけ?まぁ用事ならあるから安心してお兄ちゃん!お兄ちゃんに会いに来たんだよね!」
それは用事とは言わん!だがいつもの事なので言ったりはしない、
「(棒読み)あーそうですか。うれしくて涙が出そうだよー」
「えへへ?私もお兄ちゃんに会えてうれしいなぁ」
そういう妹は嬉しそうに俺の身体に頬をすりすりしている。正直鬱陶しい。
「ねぇお兄ちゃん外でこういうのするものいいけど、お部屋に入れてくれないかな?」
いやそれはまずい、部屋には真緒がいるから入れることはできない。危機感を覚え速攻拒否をしたが、俺は碌に運動もしていないひょろひょろの身体なので運動の出来る妹に力負けしてしまい、侵入を許してしまった。
すると、さっきまでニコニコだった妹が血相を変え、振り向きこう言うのだ。
「女の匂いがする」
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