第89話 健一さんと急な来訪者 美味しいっすか?

 真緒ちゃんの作ったご飯を食べられず、眺めるだけ…


 さっきまで何を見せられていたのか、真緒ちゃんがお兄ちゃんを舐めていたけど流石に私もあそこまで出来ない。


 でもお兄ちゃん少し喜んでいた様に見えたし、私もしてみたら喜んでくれるかな?いや、嫌われそうだからしないけど。


 ぐぅぅぅ


 そんなことを考えていたら、私のお腹の音がなってしまった。時計を見るともう夜の9時でいつもご飯を食べている時間は優に過ぎている。


 空腹状態で美味しそうなソースと鰹節の匂いが充満した部屋で身動きができないと言うのは地獄だ。


「涼香お腹空いたんすか?」


 私は喋るなと言われているのでコクコクと首を縦に振る。


「仕方ないっすね。一応涼香の分焼いて置いたっすから縄解くっすね」

「真緒、その前に喋らせてあげて」


「そ、そうだったっすね。涼香もういいっすよ」

「ありがとうお兄ちゃん」


 私は喋れない呪縛と身動きの取れない状況からは脱する事ができた。まぁ今回のは自業自得なので文句も言えない。


 これからはもう少しバレないようにしないと…


 正座で手を縛られていた事もあり、痺れている足を摩りながらテーブルの前につく。


「美味しそう」


 目の前にはうねうねと動く鰹節の掛かったお好み焼きがあり、空腹の私はもう涎が出て来そう。


「いただきます!」


 2人に見守られながら…真緒ちゃんには睨まれている気がするけど、手を合わせてご飯を食べ始める。


 パクッと含むと口の中に広がるソースと鰹節の香り、そしてじっくりと味わうように噛む。


 ん?何かプリッとした食感の物が、もうひと噛みするとほんのりと磯の香りが…これは、えびか。美味しい、他にも四角く少し弾力のある…イカか!じゃあこれはシーフードミックスでも入れているのだろう。


「涼香、美味しいっすか?」

「うん!すごく美味しい!!」


「よかったっす」


 そう言って感謝をいう真緒ちゃんは女の私でも可愛いと思ってしまうほどの物だった。私そっちのけあるかも。女の子、じゅるり…



*****



 涼香が家に来て数時間が経ち寝る時間になった。涼香はトイレに行くと言って部屋を出ていき、その間に真緒と話さなくてはいけないことがある。


 それは涼香の寝る場所についてだ。


 真緒は普段通り俺と寝るが、これまで真緒以外泊まる事がなかったせいでお客様用の布団がない。


 地べたに寝て貰うのは申し訳ないし、一緒に寝る…身の危険を感じるし、真緒が嫌がりそうだしな。


「なぁ真緒、涼香どこで寝て貰おうか」

「床でいいんじゃないっすか?」


 真緒は本当に俺と考えることが似てきたな。嬉しいような気がするけど、あまりよろしくない事だから手放しには喜べない。


「いやそれは、ダメだろ。俺も考えたけどさ」

「健一さんも考えたんじゃないっすか。でも本当にどうするっすか?私、ベッドを使われるのだけは嫌っすよ。ここは健一さんと私が毎日汗と色々な汁をーー」


「よし、ちょっと黙ろうか」


 最後いらないことを言っていたが、真緒の言い分もわかる。このベッドは俺と真緒にとって大切なものの1つだ。


 妹だからと、使わせるのは俺もそこまで好ましいとは思わない。


 だが、このままだと涼香を床に寝かせてしまう事になるし…どうしたものか。


 そう思っていると、スマホからピコンと通知音が鳴った。


「うわ、修正…多いな」


 内容は楓さんから今日作業した箇所の修正指示だった。これは寝る前にするか明日、楓先生の部屋に行って…あっ。


「真緒、解決したかも」

「え、ほんとっすか」


「あぁ、今からちょっと連絡してみるわ」


 俺は試しに楓先生に連絡してみることに…


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ここまで読んでいただきありがとうございます!


次回:第90話 健一さんと急な来訪者 分かんないっす


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現在連載中

『傷心中に公園で幼馴染の妹を段ボールから拾ったら、めちゃくちゃ世話してくれるようになった』

https://kakuyomu.jp/works/16817330662341789174


甘々作品なので気になれば是非読んでいただければ幸いです!

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