第4話 渦中のVTuber迫り来る
配信後に必ずやることがある。
それはSNSでエゴサ。
僕のリスナーが配信を聞いてどう思ったのか。
リスナー以外が僕を認知しているか。
僕に興味を持つ他配信者はいないか……など。
外出以外の
見た感じ藤井ユイについての配信は中々だったみたいだな。良かった。
藤井リスナーが怒るとか、僕に対しても誹謗中傷するかなって思ってたけど杞憂に終わったみたい。
さーて次の配信はどうしようかな……ファンに細かいこと聞けたし、現状の動きを喋ろうかな。
でも困ったことに藤井ユイは何のアクションも起こさない。
これだとネタに困っちゃうんだよ。それこそアイドルとか俳優は事務所が関わるから炎上に対しての反応が早いけど、個人だと本人が動くのを待つ形になる。
ダメ元で、藤井ユイに対しての情報待ってますって投稿しておくかぁ。
……ん? DMが来てる。
――ってこれ、藤井本人のアカウントか!?
公式マークのないアカウント。
イタズラ目的のDMの可能性もある。
ただフォロワーは四万人。
たまに偽者アカウント作って怪しいお金配りするのも見たことある。
もし本物だとしたらなんで僕に……。
僕の配信を誰かに教えて貰った?
いずれにせよ、配信者として見逃してたまるか!
とりあえず返信しないと。『初めまして』とだけあるけど、単刀直入に聞いてみようか。
『初めまして。僕の配信の件についてですか?』
『はい。ほんじょーさんの配信を拝見しました。最後に仰っていたこと、あの言葉は本意ですか?』
めちゃくちゃ丁寧な文章。
ファンはこういうとこが好きなのかな?
『はい本気で言いました』
『承知しました。今、私の身に起きていることはご存じかと思います。私の軽率な行動が招いた結果ですのでお恥ずかしい限りですが……』
彼女は続けた。
『説明しなければいけないことがございます。それに当たって、ほんじょーさんの協力を頂けないかと思っている次第です。誠に勝手ですが、今通話出来ますでしょうか?』
ファっ通話!?
なんか勝手に話しが飛躍してない!?
『いいですけど、僕なんかと関わって大丈夫ですか?』
『と言いますと?』
『藤井さんほどのVTuberが底辺と関わることに更なる炎上を呼ぶ気がします』
『信用出来るお方がほんじょーさんのみでした。あなたの配信スタイルはもっと褒められるべきです。素晴らしい活動ですから』
なんかそこまで言われると調子に乗りそう。
『わかりました。僕のIDです。通話の準備をするので五分後くらいにお願いします』
僕は返信を見ずに画面を最小化した。
――あああああああどうしよう!!! 顔が熱い、真冬なのに汗かいてる!
上手く話せなくて引かれたらどうしよう! 影できもいとか言われたら死んじゃう!
五分じゃなくて明日……とかにすれば良かった! ぎゃああああああ!
ってもう通話来てるじゃん! まだ二分くらいでしょ!?
無視も出来ないし……もうどうにでもなれ!
「はい……ほんじょーです」
「……初めまして。藤井ユイです」
めっちゃ可愛い声やんか。
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