第24話 これからもスタンダード
やりたいことは自分で見つける。
自分の力でつかみ取る。
自分は集団に混ざってしまうと人の影に隠れてしまうので何も出来ない。
だからこの距離感がちょうど良い。
「ほんじょーの配信はあくまでもスタンダードであり、ちゃんとルールを守っていることをお約束します! ということで、みなさんこんばんは」
『おす』
『やあ』
『こん』
『大事なお知らせって見たけどあれなんなん?』
「数日前のことなんですけど実はAmaterasuから契約オファーも来てました」
『マ!?』
『それで呼ばれたんか』
『で、どうなったの?』
「たくさん悩みましたけど断っちゃいました」
『なんで?』
『いやほんじょーは企業向けじゃないから、一人で勝手にさせた方がいい』
『今はそうだけど、方向転換して安定した給料もらった方がいいだろ』
『どう思うかはほんじょー次第。俺たちがとやかく言うことじゃない』
「理由はちゃんとあります。全部は話せませんが、やはり僕はこのやり方で頑張ります。確かにAmaterasuに入れば出来ることが増えると思いますけど、僕は炎上を擁護していくスタンスなのでフリーの方が取り扱いやすいはずです。仲間が増えるのも嬉しいですが、距離が近づき過ぎちゃうと変な感情も
『まあそれは確かに』
『関係者の炎上を擁護しろって言われたら、それはそれで違うもんな』
『最近コラボが多くて不安だったけど、今のを聞いて安心した。やはり俺たちのほんじょー』
『今の活動で得た人脈を少し頼るくらいでいいんだよ。確実にほんじょーの名は知れ渡ってるし、今のままでいい』
「ネタ不足になりがちですけど、そこはもう知らん顔してまた明日から頑張ります」
『うん』
『頑張りや』
『オフ会やるんだったら必ず行くからな』
「あーオフ会か。オフ会で思い出した」
そう言えば出席の有無を問われていた。
まだ答えてないや。
「イベントの打ち上げが次の週末あるんですよね。行こうかな~って」
『は?』
『おいお前、どういうことか説明しろ』
『女の子とゲームしたと思ったら今度は会うだと? 4にたいのか?』
「いやーでもほら! 藤井さんとみずきさんはご飯行くとかって約束したじゃないですか! 三人で会うのは気まずいから打ち上げでタスク消化しようかなって……」
『やっぱり変わっちまったよ』
『生きて帰れると思うな』
『俺たちが炎上させてやるからな』
なんだよ態度がすぐ変わるし。
やっぱ怖いよこの人たち。
もしかしたら僕は自分のリスナーによって自分の首を絞めることになるのかも。
「でも、みなさんだって女の子とご飯行ったりカラオケ行ったりしてますよね? 僕よりそういう経験が多いと思いますけど」
『まあな!』
『何を今さら』
『毎日誘われて大変だぜ……』
『おいおまいら、正直になれよ。身体が軽くなるぜ?』
「あははやっぱりみなさんの方が経験豊富じゃないですか」
僕も何か変えたい。
人間関係、生活、未来。
なんでもいいから変化がほしい。
人前で話すのが苦手で社会不適合患者だけど、少しくらい人並みを味わっていいと思う。
そのために配信をしていくんだ。
先に何が待ってるかわからないけど、毎日一歩ずつ。
後悔の道を進んだとしてもそれも経験。
ここまで来たらどこまでも突き抜けてやる。
だからこれからも……
「これからもスタンダードを約束します」
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