第10話 ほんじょーの配信はあくまでもスタンダード?

「ほんじょーの配信はあくまでもスタンダード! と言うことで……はい、帰ってきました」


 帰りの道。


 帰宅後に配信すると予告していた。


 眠くなる前に始めるつもりだったが、Amaterasuの人が送ってくれるって言うから甘えてお願いしけど、まさか東京から地元まで車での移動だった。


 新幹線なら二時間かからないけど、四時間弱かけて戻ってきました。


 おかげで腰が痛い。


『ほんじょー!』

『かっこよかったぞ! 顔見てないけど!』

『東京楽しかったか?』

『藤井に会ったの?』

『お前を認めることにした』


「あはは……ありがとうございます。本配信の方はどうだったんですか?」


『無法地帯』

『ヤラセなのか疑われてた』

『でも神無月会長が出たから説得力あった』


「あの会長って何者なんですか?」


『知らん』

『自分で調べろ』

『甘えるな』


 うわっ冷たっ!


『会長は名家の生まれで日本有数の実業家です。死ぬほど資産があるようで、様々な事業に手を出しています』


「その言い方だとふくみがあるような……」


『滅多に顔を出すような人じゃないから、ヤラセを否定できたんだ。こんなことにあの人が関わるわけがないから』


 こんなこと……か。


 世間にとってはその程度かもしれないな。


『深夜なのに人多いね』

『おい七百人見てるぞ』

『マジかよ緊張する』

『ほんじょーの配信はスタンダードではなくなった』


「今日だけで言えば何を約束してるかわかりませんね」


『ほんじょーの配信はあくまでもアブノーマルで、常軌を逸していることを約束します』

『草』

『イカれてること約束してて草』


「そのタイトルも面白いですね。採用はしませんけど」


『フォロワーとか増えた?』


「はい、SNSフォロワーが千人から三千人。チャンネル登録は二千から五千になってました」


『大出世やん』

『おお!』

『こうやってほんじょーも遠くに行ってしまうのか……』


「このスタイルは変えませんよ。大好きですから」


『男から告白されても……』

『もう//// バカ……』

『彼女いるから。すまんな』

『いねーだろ』

『おい誰だ彼女いるって言ったヤツ』


「みなさんは変わる気ないですね」


『当たり前だろ』

『初心を忘れるな』

『初心を忘れた野郎共がここに集まってるんだろ???』


 ……初心か。


 初心どころか、人の心まで失いかけてたな。


『イベントはどうだった?』


「すっごく楽しかったです。イベントくらい社会に出たら当たり前かもしれませんが、僕にとってかけがえのない思い出になりましたよ」


『ほんじょーが満足したなら俺たちも満足できる』

『藤井から連絡来た?』


 おもむろにスマホを手に取る。


 DMは来てないな。


「忙しそうにしていたので、今日は来ないかもですね」


『そっか』

『飯田ってどうなったの?』


「あっ飯田さんは会社の人に連れていかれました。その後はわかりませんし、どう処罰したかは明かさないと言ってました。内部処理ってやつだと思います」


『これで一件落着よ』

『ほらクリスマスプレゼント』


「わあ一万円のスパチャありがとうございます!」


『俺の予想だが、ほんじょーはこれから人気者になる。もっと多くの配信者とコラボしてドンドンステージアップする。もしそうなったとしても、いつもの感じで接していいか?』


「もちろんです。有名になろうがなりまいが、同じように接すると約束します」


『安心した』

『お疲れさん。また明日な』

『乙』

『おつー』


「お疲れ様でした。明日も配信しますのでお越し下さい」


 締めの言葉を告げて配信終了をクリックする。


 はぁ~わけわからんくらい疲れた。


 今夜はぐっすり眠れそう。


 おやすみ。




☆★☆

あとがき

☆★☆


 これにて1章終了です。

 ここまでご覧頂きありがとうございます。


 炎上を擁護する配信者ほんじょーは如何でしたでしょうか?


 本来の自分と今起きていることに葛藤する場面があったかと思います。


 そんな十九歳がどうなっていくのか、私自身楽しみです。


 最後に、いつもエタる自分がしっかり1章を書ききって驚いています。


 これもみなさまのおかげです。


 もっと面白い作品になるよう日々努力を重ねますので、今後もお付き合い頂けると幸いです。




 ろっし

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