第67話 事情聴取

 あかぼんとのツラ合わせの翌日。


 騒動の雰囲気を知った僕は真那月レンと話す為に通話できるかコンタクトを取った。


 SNSでDMを送ってみると「誰?」とだけ返ってくる。


 イケメン人気絶頂配信者(大嘘)のほんじょーだと名乗るもその後は返事すら来ない。


 大変困っていた。


 もし真那月が配信すればコメントするとかしてアクション起こせるけど、プチ休止中だから打つ手がDMしかない。


 そこで僕は知恵を絞ってある作戦を思いついた。


 以前僕は女子高生を名乗って男子高校生に近づいたことがあるだろう?


 そう。今度の作戦はイケメンだと名乗って真那月に近づき、通話まで繋げることだ。


 メンタルが弱っている子に優しく近づけば心を開くこと間違いない。女性のみなさん、そんな淡い考えを持ってる僕を許してください。


 というわけでネットで見つけた高層マンションから下界を見つめる金髪イケメンの写真をサムネにし(もちろん顔が映らないように加工)、それっぽいプロフィール書いてアカウントを作ってみた。


 どう見ても怪しい商材売ってそうな写真だが、ものは試しだ。


 ってわけで送信っと。


『君が大変なのは知っている。助けられるのは俺だけだ』


 ……え、もう返信来た。


『お兄さん誰?』


『ただの二十九歳一般男性』


『ただの一般男性がそんな高層マンション住まないよ』


『それはどうだろう。俺は君の力になりたいだけ。なんでも言ってよ』


『なんでもって言ったね』


 なんなんだこれ。


 世の中金と見た目かよ。


 悪かったな陰キャで。生まれ変わったらロバになってモンゴルの大草原を走り回ったろ。


 てかこんなので反応しちゃう真那月はなんなの?


 マジで信じているのか、ノリがいい子なのか。


 できればノリが良い子であってほしい。


『一億くらい分けて欲しいけど、キミさっきの人でしょ?』


 うげっ。


『ガキのイタズラなんかすぐわかるから』


『昨日あかぼんと話しました。僕は真那月さんを救いたいんです』


『求めてない』


『でも僕は助けなきゃいけない。約束したので』


『目的は?』


『炎上から助けることが僕の使命です』


『私が陰キャに過激な発言したからキミも怒ったの??』


 過激な……発言?


『過激とは?』


『誰かから聞いて。またね』


 そのメッセージが表示されると、真那月が返事をすることはなかった。


 くそう。通話できなかった。


 さらっと流されたけどサブ垢を見抜くとは。


 洞察力がある感じがするのになんで過激な発言をしたんだろう。


 どこか矛盾がある。


 あかぼんは人を不快にさせることに躊躇いがない。


 真那月は対照に言葉を選んでいる気が。


 いや待てよ。


 初めて配信を見た時も荒っぽい言葉を使っていたような……。


 この辺に要因が潜んでいそうな気がする。


 …………! 誰かからメッセージが来た!


 もしかして真那……いや違うな。


 三ノ宮ジョーって書いてある。


 知らない名前だ。


『ほんじょーくんこんにちは。アダルトバーチャルエージェンシー所属の三ノ宮ジョー。みんなからイケオジって呼ばれてるから君もそう呼ぶといい』


 これは……!?


『話しがある。今夜どうだい?』




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