第66話 あかぼんの目的
「まず最初に教えてほしいのが真那月レンを標的にした理由です」
「なに? 質問コーナーでもやるの? 芸の幅が狭くない?」
「真那月レンが何をしたんですか?」
「え、知らない」
ぎゃははと笑うのはあかぼん。
一体何が面白いと言うのか。
「何もされてないのにあなたは他人を面白おかしくイジって、安全な場所から攻撃するんですか?」
「うん。そうかもね」
コイツ……。
「お前とは目的が正反対だから答えなんて出ないよ。そんなこともわかんないの?」
「……答え?」
「俺は相手が何であれ叩きがいがあればリスナーもといチー牛どもを従えて数字を稼ぐ。お前は俺みたいな連中が許せないんだろ? じゃあ水と油だな」
「なれ合うとか和解しようって言いに来たわけではありません。真那月レンに向いたヘイトを解消させ、彼女の抱える問題を解決するためにここに来ました。そのためにあかぼんさんからリスナーに向けて攻撃するのを止めるよう言って欲しいんです」
「え、やだ」
「どうしてですか?」
「どうしてって……金を稼ぐためにやってるから」
…………もういいや。
この人は本気で止める気がないとみた。
炎上とか煽り行為に後ろめたさがないんだな。
まったく。
そしたら、ちょっとカマをかけてやろう。
「そうですか。チー牛と言えば一般的に【陰キャ】【根暗】【イケてない】とかを指す言葉だと思いますが、真那月はチー牛が好みそうな巨乳でスタイルが良いアニメキャラにいそうな感じですよね。だから性のターゲットとして狙ったんですか?」
「んあ??」
おっ食いついた。
「まあ顔バレしてないですけど美人であることは連想できます。モテそうですよね彼女」
「それが???」
やはり。
コイツも僕と同じで陰キャに属する人間だ。
言われて嫌な言葉は知ってる。
「目立つからこそ何かあれば悪口言いたくなります」
「なあリスナー。こいつおかしくなったのかな?」
「怖いんですよねあかぼんさん。あーいう人に居場所を奪われるのが。陽キャは僕たちを簡単に飲み込んでしまいます」
「おいなんだよお前うるせーよ!」
それが本性か。
「おっけーですわかりましたから。お忙しい中ありがとうございました」
「うわっ逃げるんだ」
「辛そうにしてますねあかぼんさん。また来ますよ」
ぎゃーぎゃー言われながら静かに通話を切る。
「ふぅ~~~~~緊張した」
『おつ』
『よーやった』
『あかぼんも俺たちと同じチー牛なんだな』
『おい一緒にするな』
『黙れ童貞』
五分くらいしか話せなかったけど……しっかり収穫はあった。
あかぼんの標的になった理由が必ずある。
そして互いに落ち度があると見た。
真那月が陰キャを煽り、それを知ったあかぼんが怒ったんだ。
中学生の頃からそういう人間関係の乱れを見てきたし、今まで擁護してきた案件にも互いに落ち度があるケースが多かった。
それこそ藤井ユイの件もそう。
でも炎上するのは片方だけなんだよね。
『ほんじょーさん。見てて少し怖かったです』
『マイエンジェル!』
『大丈夫だよ、君は俺が守るから』
『君の気持ちすごくわかるよ』
「あぁごめんなさい! 穏便に済まそうと思ってましたが、ムリがありますよね……」
『でもカッコ良かったです。他人事でも本気になれるのはステキです』
『実は俺も炎上解決に向けて動いてんだよね』
『俺も』
『隠してたけど俺もなんだ』
『お、おまいら。。。』
『うーん、この』
「でも進展がありました。明日は真那月レンに凸ります」
まだ始まったばかりだぞほんじょー。
しまっていこう!
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