第49話 先生怒らないから正直に言いなさい③

 僕が当事者だったらどう思うだろう。


 いつも遊んでる友達からハブられればもちろんヘコむ。


 なんで僕がって思っちゃうし、変に逆ギレして取り返しのつかない状況になってしまうかも。


 でも大丈夫。喧嘩する相手がいないから僕の周りはいつも平和だ。


 ってことで翔太くんの言い分はよく分かった。


 分かりすぎて色んな感情が湧いたけど今は腹の内にしまっておく。


 昨夜は寝ようとしてもしつこく誘われるから大変だったよ。


 さすが巨乳女子高生そらたん。架空の人物だけど効果は抜群だ。


 特に盛んな中学生、にはね。


 次は得た情報を共有したいところだけど、まだみあちゃんの話しを聞けてないからこっちを済ませないといけない。


 今夜も翔太くんと同じやり方で……いや、本垢で行くべきか。


 いや違うな。


 いや、どっちだ?


 近づくにはサブ垢作った方がいいけど女の子釣るためにそれをやっちゃうと、ネトストしてる人たちと同類な気がするぞ。


 別アカウントでブロックされた相手に再度接触を試みるなんてよく聞く話しだ。


 どうだろう考えすぎか?


 翔太くんに使った時点で同類もクソもないけど、なんかこう、追い詰められてる中学生にそこまでしたくない思いもある。


 しかし失敗したらもう連絡手段がない。


 IDを、ほんじょーです君を助けたい。ってすれば大丈夫か???


 ダメだ最適解がわからん。


 僕の心に問い合わせするんだ。


Q.ほんじょーさん。どうしたらいいですか?


A. 本能に従ってください。


 ――だそうだ。


 僕の本能は炎上した人を助けたい。


 だからこの場合、みあちゃんときらなちゃんを助けるために僕は動く。


 じゃあそこにウソ偽りは不純物とみなす。


 結論が出ました。


 ほんじょーアカウントで行きます。


 そう決まればゲームを立ち上げて、と。


 検索でmiaと入力すれば候補が挙がって……


 これかな?


 フレンド申請っと。


 認証されるまで待機しますかー。


 その間エゴサしますよー。


 机に置いたスマホを手に取りSNS巡回開始。


 相変わらずDMで意味分からんメッセージが届く。


 最近だとリスナーからチン凸が来るようになった。


 もちろん全員ブロック&通報。


 悪即斬。


 あとはアフィリエイトのお誘いだったりチート販売業者から熱いメッセージが届く。


 こうして見ると、活動開始当初より有名になったと実感できる。


 いつの日かグラドルや女優からフォローされたりDMが来ることを期待するけど、異世界転生しても無理そうだから期待だけに留めておこう。


 みあちゃんからブロックされなければ手っ取り早いけどね~……って、ん?


 ブロ解されてるやんけ。


 どして?


 わざわざ解除してくれたの?


 良い子やん。


 ゲームの方はまだだから、試しに送ってみますかね。


 内容は『少し話したい』にしよう。


 んじゃあ送信、っと。


 ……わお返事来た。


 若い子ってマジでSNSにへばりついてるから逆に尊敬する。


『なに?』


『一連の出来事について聞きたいことがあるんだ。ブロックはしないでほしい。お願いだ』


『聞きたくない』


『僕はみあちゃんをいじめたいわけじゃない。この件を解決するために動いてる』


『うそ』


『ほんまに』


『証拠は?』


 証拠か……


 捜査資料でも見せればいいのか。


 そんなんねーよ!


『証拠って言われても……』


『じゃあ信用出来ない』


『こう思わない? 見ず知らずの僕が見ず知らずの中学生の人間関係に踏み込んでる時点でおかしいよね? 普通ならあり得ないじゃん。でもたまたまきらなちゃんと通話して話しを聞いてさ、炎上擁護をする身としては黙っておけないんだ』


『ほんじょーのこと調べたこと本当に擁護してるみたいだね』


 してるみたい、じゃなくてしてるの。


 ここ凄く大事。


『じゃあ全国の炎上を助けてるんだ?』


『そのつもりさ。炎上は必ず助ける。相手が中学生であっても』


『くだらねー』


『カッコいいでしょ』


『キモ』


『キモくない。とりあえず文章考えるからちょっと待って』


『ちょっとなら待つ』


『あまり深く受け止めないでほしい。ショック受けるかもしれないから』


 あらかじめまとめていた情報をコピペし言葉を足したり引いたり。


 数分だけ時間をもらい一通り見て貰った。


『これガチ??? 信じられない』


『間違いない。スクショもあるし撮影もしてた。これは開示しないけど』


『最低』


『そう思うよね』


『キモすぎだるすぎ』


『酷だけど翔太くんは二人に手を出すつもりでいた。その練習としてきらなちゃんに告白してOKが出る。でもみあちゃんは気に入らなかった。んで今に至る』


『明日翔太殺す』


『その前にやることがある』


『なに』


『きらなちゃんに謝ろう。きらなちゃんは何もしていない。翔太くんは自分の居場所を保つためにその場凌ぎのウソをついていたに過ぎない。彼ときらなちゃんは繋がっていないから』


『気まずいムリ』


『通話にしてくれれば僕も参加する』


『それでもヤダ』


『逃げちゃダメ。二人は友達に戻れるから』


『怖い』


『怖くない』


『無理だよ』


『大丈夫。僕に任せてほしい。この件については僕も思うところがある』


『嘘ついたら殺す』


『全部上手くいく。へっちゃらさ。このあと時間ある? あればこの通話アプリ入れてほしい。検索で今貼ったID入れてくれれば僕に繋がるからそこまでやってほしい。僕はきらなちゃんに聞いてくるから』


『あい』






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る