第50話 先生怒らないから正直に言いなさい④
「……もしもし」
「はいほんじょーです聞こえてるよ」
「言われた通り来たけどなんかあったら許さないからね」
「大丈夫。何も起きないし綺麗さっぱり収まるから」
──その翌日。
僕はきらなちゃんとみあちゃんに自分が使ってる通話アプリをインストールしてもらい、いつでも通話できる状態にしてもらった。
もちろん二人は大反対したさ。でも二人が折れるまでお願いしたら首を縦に振ってくれた。
ってことはまんざらでもないはず。それはそうだよね、この二人は被害者なんだもん。
もちろん多少の過失はある。みあちゃんがハブいたことで関係に亀裂が入ったけど、諸悪の根源は見つかった。
翔太くん。君は大きな過ちを犯してしまった。
正直に話してもらうためには、二人の協力が必要なんだ。
「まだ来ないね」
「いきなりきらなと話せないからほんじょーが繋いで。様子見て喋るから」
「任せて。自然な流れで会話を持っていくから、その時が来たらちゃんと話すんだよ」
みあちゃんは短く返事をして黙ってしまった。
難しいよね。自分がハブいた相手が通話に上がって話さないといけないわけだし。
感情ぐちゃぐちゃだと思うけど、ちゃんと通話に応じてくれたからには最大限のサポートをして関係構築を目指す。
出来なかったら全裸で道頓堀に飛び込む。
晴れて犯罪者の仲間入りだ。
ほんじょー炎上道頓堀に参上、置かれた立場は惨状世間は同情ってな。
うわ自分で考えておきながらくっそつまらねえ。
そもそもラップの心得とかないから人前で言うのだけは控えよう。
現場が凍えるはずだから。もし真砂さんとのコラボでスベったら、ワンチャンファンたちに殺される。
いや真砂さんとコラボして死ねるなら本望か? 嫌ではない。
死に方くらい選ばせてくれるかな……?
痛くなくてすぐ意識を失う麻酔みたいな感じで頼む。
「ねえ」
かっこつけて「悔いなし!」とか言って民衆の前で果てるのもアリだな。
「ねえってば」
我が生涯に──
「ほんじょー!!!」
「うわ誰ぇ!?!!?」
「きらなだよ! なんでシカトするの!?」
びっくりした誰かと思った。
いきなり大声出すから脈飛んだわ。
入室に気づかなかったのはごめんなさい。
「ごめんごめん」
「呼んでおいてシカトは最悪」
「マジでガチでほんとに気づかなかった。誓って」
「ふーんだ。で?」
「みあちゃんも来てるから」
「……そっか」
心なしか声のトーンが下がったような。
まぁ複雑だよね。
「あんまり時間かけたくないからもう始めさせてもらうよ。二人に来てもらったのは他でもない、翔太くんとの間に何が起きたのか? についてだ」
「うん」
「まず断っておくと二人は被害者である。が、加害者でもある。みあちゃんはね。昨日も言ったけど事実を話すからショックを受ける場面もあると思うけど、素直に受け止めて欲しい」
「……」
「まず翔太くんがきらなちゃんに告白したのは、みあちゃんに告白する前の練習相手としてきらなちゃんに近づいた。もちろんきらなちゃんは翔太くんの思惑を知るよしもなくOKを出したのだが」
「そう、らしいね」
「翔太くんの本命はみあちゃん。だけど付き合ってからかっこ悪い姿を晒したくないからきらなちゃんで色々練習しようとしたんだ。あっちの方も練習する気でいたみたい」
「キモすぎ」
「でもみあちゃんは翔太くんのことが気になっていただけに付き合うことになった二人を許せなかったから愚行に走ってしまう。ここは反省点だから綺麗な心で受け止めること」
「……反省します」
「関係は悪化し彼氏のはずの翔太くんはみあちゃんサイドだから一度は離れる。でも翔太くんの翔太くんは欲望に素直だったらしく再度きらなちゃんに突撃。思惑は失敗し保全のためにあれこれ吹き込んだ、と言うわけだ」
止まらず説明し切ったけど大丈夫かな……
「まぁ、起きたことだし今更何を言ってもだよね」
ほお、大人だな。
これは存外。
「二人の胸の内を聞きたい。話せる方からどうぞ」
「全然自然な感じじゃないじゃん。話しづらっ」
「じゃあみあちゃんから」
「きらな。ごめんなさい」
「ううん。いいよ。私も悪かった」
「そんなことない。みあが全部悪い」
「明日遊ぼ?」
「行く」
うんうん。
二人ともいい子じゃないか。
ちゃんと反省してるね。
中学生なのにあっぱれ。僕ならしばらく根に持って上履き隠したりするのに。
じゃあここまで来ましたら後は……
「翔太くんにはお灸を据える必要がある。ただし守ってほしいことがある。それは翔太くんの居場所を奪わないこと。この件は三人だけの秘密だから言いふらすのも禁止。関係の修復が出来たから、ウイニングランだけして閉幕させるよ」
待ってな翔太くん。君にはちょっとだけ罰を受けてもらう。
なあに痛くはないさ。恥ずかしい思いをするだけだよ。
巨乳女子高生そらたんはただゲームしただけじゃないのさ。
ぐふふふふふふふふ。
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