第6話 突撃!アンノウン

「――っていうのが、藤井ユイ炎上までの経緯です」


『なるほ』

『よし、よくわかった』

『今北』

『俺もユイと恋愛ごっこしてぇ』


「みなさんはどう思いますか?」


『内容だけ聞くと藤井本人が悪いよね。ってかリスナーとそんなやり取りしたら問題になるでしょーが』

『自分がやらかしたのに、ほんじょーに火消しを任せるなんて都合が良すぎる。この件には報酬があるの? 無かったら受けなくてもいいんじゃない?』

『それ関わったらほんじょーが燃えない? なんでこんな奴を擁護するんだ売名か? それともお前がアンノウンか? って言われそうじゃない?』


 ……うーん。


 みんなも僕と同じ意見か。


 確かに報酬とか話していなかった。


 まさか依頼されると思ってなかったから、難しくなりそう。


『でもさ。お金貰って解決したらほんじょーのイメージ変わると思う。クリーンなほんじょーの背景にお金を匂わせたら、一気に印象悪くなる。見返り求めて擁護する乞食とか言われたら俺たちも悲しい』


「あはは。そこは大丈夫ですよ。一応、無償で動きます。この件を解決するのに、何が必要だと思いますか?」


『あくまでも感想なんだけど、男性に慣れてないからってその辺のリスナーにそこまでのお願いするか? 藤井本人が何歳かは知らんが考えればわかることじゃん。それで炎上して助けて下さいって、バリバリ違和感なんだけど』

『たしかに。その理論で言えば、優しくされてホテルまでついて行きましたって言ってるのと同じ』

『おまいらは女の子と会う機会すらないのに何言ってんだか……』

『うるせー』

『4ね』

『これさ、藤井バカすぎる説と、裏で何か起きてる説のどちらかだと思う』

『ほーう?』

『ほんじょーはどう思う?』


 まぁ僕も変に感じるよ。


「昨夜藤井と通話したんだけど、なんかよそよそしいって言うか、緊張してただけなのかもしれないけど変な感じはしました」


『通話!?』

『声作ってた?』

『スリーサイズは?』

『あれか。あの配信で言った言葉が実現したのか』

『俺にもID教えて!!』

『そもそもアンノウンって何者やねん』

『アンノウンってヤツにDMしたら?』


 たしかに。僕もアンノウンについて不確定な要素が多くて困ってる。


「DMかぁ~。SNSのアカウントは見つけてるけど、どうかな~。みなさんが望むならやってもいいですけど……」


『行け』

『配信で晒そう』

『今来ました藤井リスナーです』

『キタ!』

『あっちのリスナー来たし行くしかないっしょ!』


「……えーでは藤井ユイリスナーが来ましたので、問題となっているアンノウンにDM送りまーす」


『これには期待』

『二十三時だから寝てるかもよ』

『いや、藤井でシコってる』

『シコってる草』

『草』

『やめろ』


「それでは送りましたよ。自己紹介と今回の件について。画面は見せれないので読み上げます……ってもう返事来たな」


『あっほんじょーさんだ。知ってますよ』


「だそうです」


『そのまま叩きのめせ』

『藤井との関係を教えてくださいって送って』


「送りました」


『えっ!? なんで俺たちが付き合ってること知ってるの?? もしかして嫉妬しっとしちゃった笑』


「って書いてます」


『うぜぇ』

『藤井リスナーです。もっと詳しくって送ってもらっていいですか?』


「はい送りました」


『な~んだほんじょーさんもガチ恋勢だったのか~。ユイはね、デビューした頃から知ってて、応援してるって言ったら向こうから話しを持ちかけてきたんだ笑 それが今になって炎上しちゃって。嫉妬って怖いんだね~笑』


 ……これ本当なのか? 事実だとしたら藤井はアホすぎる。


 これまで幾多のアイドル、女優、配信者が男問題で消えてきたのに、こんなあからさまなことをすれば何が起きるかくらいわかるはずだ。


 丁寧な言葉遣いだったから高校生とは思えない。


 明らかに年上。


『あれ動揺してる? 近々デートの予定もあるから、また写真載せとく笑 煽ってはないよ、事実だからさ笑』


「近日中にデートするらしいです」


『ダメだコイツ……早くなんとかしないと……』

『お客様の中に特定班はいらっしゃいませんか!』

『こんばんはケイタです! リスナーから聞いてすっ飛んできました!』

『おっケイタさんや』


「あっこんばんは~。今アンノウンにDMしてます」


『アンノウンに、配信会社につとめているか聞いて下さいお願いします!』


「配信会社? わかりました送ります」


『ドキドキ』

『もしかして自演自作?』

『あれか。流行はやりの炎上商法』


「えー返事来ました。『あ? 知らねーよそんなもん』だそうです」


『なんか態度違くない?』

『反応変わりすぎワロタ』

『不特定多数の一人じゃなくて、本当に関わりある人じゃないの?』

『やっぱり。この前、関係者のみのイベントにって言いましたけど、ただのファンがその場にいれるわけありません。俺たちの調べだとその場にいた人間、名前を出すなら配信会社Amaterasuの人間だと思ってます』

『特定キタ!!!!』

『ほらおかしいと思ってたんだよ。だっておかしいもん』

『Amaterasuって人気VTuberを多く抱える今もっとも勢いのある会社って記事になってる』


「ケイタさん詳しくお願いします」





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