第61話 炎上配信?

 炎上に近しいものが起きず少し退屈していた僕は、真那月レンについていつも以上の張り切り具合で調査を進めた。


 まずはスリーサイズ。


 上からはちじゅう……おっといけない。


 経歴や最近の活動についてはしっかり調べてある。


 圧倒的な男性視聴者の獲得に成功した彼女はVの姿とリアルの自分、その二面性をもって幅広い活動に着手しているようだ。


 ネット上では配信。


 リアルではモデル業を行うという。


 ハイスペックすぎて死にたくなったけど、気になるワードがあった。


 それは年齢が幼いのか、ちょっとした煽りコメントに逆上してすぐ配信を閉じる……というものだった。


 女の子ならセクハラを越えた耐えがたいコメントがつくことがあるけど、それを言い出したら配信なんて向いていない。


 しかし彼女は頻繁に過剰な反応を示す。


 昨日見ていてもそうだった。


 それなのに同接が千人越えだからよほど人気があるのは間違いない。


 アダルトバーチャルエージェンシ―という大変面白おかしいネーミングの事務所も気になる。


 やり手のプロデューサーがバックに控えているんだろう。


 んで、ここから僕の予想。


 真那月レンは近いうちに火傷を負う。


 あの配信スタイルはおもちゃにされやすい。


 リスナーからしたら「おい、コイツからかってやろうぜw すぐ怒って配信閉じるらしいw」って具合にイジられるのは必然だと思う。


 だとしたら僕は火消しに走るのもそうだが、火が起きないように努めることも必要だ。


 残念だったのが固定リスナーを見つけられなかったこと。


 藤井ユイさんの時は古参リスナーを見つけて配信に上がって貰ったけど、今回はそうはいかない。


 だから頭を悩ませていた。


 朝からSNSを彷徨ってるけど手がかりはナシ。


 今夜真那月レンに関わる配信をするって告知しておくか。


 情報待ってます……っと。


 最近気になってたんだけど「チー牛」って言葉をよく見かける。意味は分かるんだけどあんまり好きじゃないんだよなこの単語。


 ネットスラングが好きな人には面白いかも知れないけど僕には合わない……。



 しかしこの時、強大な力を持った「チー牛」「炎上系配信者」の存在に僕は気づかないでいたのだった――。




 文字数少なくてすまんな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る