5章 俺たちは「A」Vtuberだ
第60話 争いは程ほどに
SNSを彷徨っていると様々な情報が目に入る。
芸能人のニュースやスポーツ選手の戦績、今日のニュースや政治に関わることなど多岐に渡る。
その中で人々が関心を持つのは……まぁたくさんある。
突然すぎるニュースなど真偽を確かめるためにみんなこぞって名前を検索して急上昇にあがることもあるよね。
そのニュースが炎上に触れそうであれば僕が出動するわけだ。
でも最近、炎上って単語を聞かなくて退屈だ。
暇すぎて毎日FPSやってる。視聴者参加型の。
「右詰めない!? エリア迫ってるし移動しないと死んじゃうよ!」
残りは四部隊。
ランクマッチだからミスをしないようにしないと……
「えぇそっち行くの?? ……ほら来てるって!」
あーもー! だから右の部隊を先に攻撃したかったのに!
変にちょっかい出したから僕らの部隊にヘイトが向いてるよ!
「ごめんダウンした! 順位優先で!」
と伝えるが時すでに遅し。
小さな岩一つに三人で隠れていたが、射線を切れず集中砲火を浴びてしまう。
そして画面真ん中にでかでかと「部隊壊滅」の文字が現れる。
「ドンマイドンマイ! ポイント漏れてるから結果オーライ!」
でも惜しかったな~。
次行こう次。
『ほんじょー倒した人、Vやってるみたいだよ』
『めっちゃキル取ってる』
『有名な人?』
ほほう。
休憩がてら観戦してみっか。
『いいIDだなこの人www』
『「A」Vtuber
『おい配信見て来いよ』
『おっぱい出してる? 女?』
「ちょっと待ってちょっと待って! 鳩とかしないでね? 相手方にコメントするのは禁止だからね?? よろしく頼むよ」
これは凄く大事。
伝書鳩とか絶対ダメ。迷惑でしかないから。
『おいほんじょー。めっちゃエチエチな格好してゲームしてるぞwww』
『女なん???』
『クッソエロいやんwww』
――ほう。
何やら気になるワードが見えたぞ。
『声も可愛い』
『聞いたことない人だけどこんなことしてたら嫌でも人気出るんじゃないの? 誰も知らない?』
『知らん。知らなすぎて惚れた』
『ゲーム上手くてエチエチな女の子……俺たちって一体……』
そこまで書かれるとどうしても気になっちゃう。
観戦してるけど確かに上手い。
エイムも良いし判断も神ってる。
で? エッチな女の子……と。
……まぁ、配信覗くだけならいいよ……ネ?
僕の配信に映すとあれだから、スマホで見ようか。
『どうしたほんじょー黙っちゃって』
『あれだろ配信見てるんだろ』
『そのあとトイレ行ったらウケる』
真那月レン……と。
!?
普通ワイプって小さくして画面端に寄せるよね!?
この人画面半分がワイプなんだけど!?!!??!?!
あの、その……おっきいですね。なんていう服かわかんないけど、露出が凄い。
てか、Vじゃないの? 普通に自分映してるけど。
『ちょっと調べてきたわ。真那月レン。アダルトバーチャルエージェンシ―所属のVTuberで、主に雑談とFPS配信をしている。ゲームするときは自分を映し、モデル顔負けのスタイルは多くの男子を魅了した。これはゲームすると集中して真顔になるから、という理由らしい。活動歴は二ヶ月の新人』
『なんだその事務所の名前www』
『中学生が考えたんか?』
『二ヶ月ならそんなもんか』
とは言え同接は一五〇〇人。
実力派のV配信者であることは間違いない。
『おいほんじょーコメント欄が荒れ始めたぞ!!』
「えっ僕の?」
『相手の』
「えーどうしてだろう……」
どれどれ……
「なにそのコメントムカつく。童貞はシコって寝てれば???」
え? え?
「あーもームカついたから配信辞める。じゃあね冴えない男たち」
――あっ配信終わっちゃった。
何があったんだろ。
『こっわ』
『めっちゃ怒ってたけど誰か原因知らんの?』
『なんか煽りコメントに過剰な反応してた』
『えーそれだけで……もっと見たかったのに』
そかそか。
まぁ最初のうちは煽りコメントへの耐性がないから難しいよね。
『頻繁に怒って配信閉じてるみたいだよ』
『いや配信者向いてない』
『でも同接凄いよな』
『怒り芸かもよ?』
その可能性もある。
配信者としても、個人的にも、とても気になるので。
――いつものように調べてみようか。
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