第14話 一通のメール
翌日。
バイト先に辞めることを伝えてから帰宅した。
店長はもう少しで一年経つから契約社員にあげてなんたらかんたらって言ってたけど、そこはお断りさせてもらった。
だって僕は配信で生きていくことを決めた。
そう言ってもらえるのは嬉しいけど、社会不適合の僕にサラリーマンはできません。
ということで早めの帰宅だったから配信のネタでも考えようか。
またみずきさんとゲームしたいけどリスナーのHPが激ローだと思うから、今日はまったり雑談配信しようかな。
場合によっては僕のHPが
昨夜の反響を脳裏に浮かべながら、おもむろにPCを起動したときだった。
ポポーン! という効果音と共にメールの通知が届いた。
誰だろう……スーパーセールの通知かな?
差出人は、配信会社Amaterasuですか。
……っ!!!
Amaterasuぅ!?
これは今読むべきか?
サラリーマンなら今すぐチェックするんだろうけど、これは配信で触れたいぞ!
あ、でも勝手に内容を見せたらダメか。
もったいないけど今確認しておこう。
『件名 バレンタインイベント出場オファーに関するご案内』
ぬっ!
『拝啓 ほんじょー様、この度は先日ほんじょー様のご協力において、大変お世話になりました。お陰様でイベントは成功に終わり
ファッ!?
『また真夜中頃、弊社所属VTuber
え……?
みずきさんとのゲームはここに繋がってたの?
『当該大会は二月十四日にオンラインで行われ参加費は無料になります。また優勝者には――』
ダメだ。
文章が硬くて底辺の僕には理解できない。
流し見でいっか。
『また、今夜出場者の発表になりますので、ほんじょー様の配信で取り上げていただいても結構です』
今日オファーして今夜メンバー発表って随分急なことするもんだな。
でもゲーム大会でオンラインだからそんなもんなのかな?
当日体調不良ですぐ代役が出るのよく見てるし、そこがオンラインとかゲームのいいとこか。
……よし!
これはリスナーに解読してもらおう!
それにしても嬉しいお誘いだ。ゲームで売ってるわけじゃないのに、オファーが来るなんて。
まるでゲームのストリーマーみたいだ。
とりあえず断る理由はないから出るよって送りたいんだけど、業務的な返信が出来るわけないので……
『こんにちは。出ます』
で、いいかな?
ピシっとした文章書けないしこれでええやろ。
よし送信っと。
今夜のネタができたし、事前告知で煽っちゃうよー!
☆★☆
「――っていうメールが届いてですね。もちろん出るって伝えました」
『女の子とゲームしたかと思えばイベントオファーかよ』
『なんか俺たちのこと舐めてない?』
『バレンタインデーに世話になったことないだろ? じゃあ出んなよ』
『そのイベント、リスナー参加型のカスタムマッチらしいね』
「あっそうです昨晩やったクオンタムシフトのカスタムです」
『昨晩ヤったって言うな』
『ってことは誰と組むことになるんだ?』
『ほんじょーはその辺のリスナーと組ませて残酷な思いをしてもらおうか』
「いやいやそこは運営さんが決めますから。出場メンバーの公開をやってるらしいんで」
『ミラーしないの?』
『さっきから見てるけどチームはまだ』
「ミラーはダメって書いてありました。なのでみなさんから教えて貰います」
『Amaterasuの稼ぎ頭が筆頭かな。この前のイベントにいた三人出るみたい』
『おいチーム言うぞ』
『ワクワク』
「マジすか誰と組むことになるんだろう。頭数足りなくて全く知らない人と組むのは勘弁して欲しい……」
『おいみずきちゃんと藤井ユイだってよ!』
『キタ―――(゚∀゚)―――― !!』
『藤井ユイも出るんだ!』
『女の子二人だと……これは血……?』
『ほんじょーはゲストチームかぁ~』
「えっ!? その二人となんですか!!」
『そうよ』
『いや嘘』
『インフルエンザ流行ってるらしいな』
『夜道に気をつけろよ』
『ビッグネームは無しか』
「マジか思いがけないメンバーじゃんか……そう言えば発表後に運営さんが通話に上がるって言うので配信は一度切りますね~」
『おつ』
『4ね』
『おいほんじょーに暴言はやめておけ』
『またな! 畜生め!』
じゃあ配信終了っと。
なんか最近リスナーのヘイトを買ってるような気がする。
不本意なのに。
『ほんじょー様運営です。通話の準備できましたでしょうか』
『はい配信切ったとこです』
文字を打ち終えたタイミングで通話のアイコンが動き始める。
「はい。ほんじょーです」
「ほんじょーさーん! Amaterasu所属楽しむことでカロリー消費!
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