第72話 炎上戦線

「まだ公に発表できないですけど復帰関係は今話した通りです」


『おおっそれは良かった』

『また一つ炎上が解決しそうですね。安心しました』

『君が安心できたのなら俺たちは報われるってもんよ』

『お前何もしてなくて草』


「いや、これからです。復帰するなら必ず叩きにきます。ヤツはそういう男です」


『前祝い金ねこれ』


「わぁ赤スパありがとうございます! 来月も生きれそうです!」


『給料日が近いからって奮発してる』

『いいな俺も稼ぎたい』

『俺も男優デビューしてから配信者になろうかな』

『黙れ童貞』


「僕だって収益化できるまで時間かかりました。一時期は苦しかったですけど今はみなさんが支えてくれるおかげです」


『私からも送ります。頑張ってください』


「ええーありがとうございます!」


『お前女の子から金巻き上げるんか?』

『おん? 喧嘩すっか? ほんじょーよ』

『もちろんそのスパチャはみんなに還元するんだよな???』


 露骨に態度変わってて草。


「来たる日は来週。そこで全て終わらせます」


『ところでアダルトバーチャルエージェンシ―というか新宮領レオが発表したホストクラブの開店記念配信? の内容見た? てか知ってるこれ?』


「え? なんですかそれ?」


『新宮領レオが運営してるホストクラブ【A.CALL(ア・コール)】が明日二十五日にオープン一ヶ月記念で感謝祭みたいなことをお店でするらしい。配信もするんだって』


『どこでそれ見た? みんな知ってる?』

『知らんな。聞いたこともない』

『そのクラブのHPに書いてある』

『お前どこでその情報得たの? ほんじょーですら知らないのに』

『情弱どもが。これだからほんじょーリスナーは……』


 ん? この人のID見たことがあるような……


『あかぼんがその配信荒らして配信閉じさせるんだよwwwwww』

『大草原不可避』

『遅れてんなここのリスナーは』


「ちょっと待って下さい。今あかぼんリスナーがいますね? 詳しく教えて下さいよ」


『あかぼんがほんじょーに教えていいって言うから鳩にきたわけよw』

『明日だけど準備大丈夫そう? 自慢の炎上擁護できる?』

『これは止められないだろうな。だってここの人間はバカしかいないもん』


「ごめんなさい真那月さんたちにDM飛ばすんで少し黙ります」


 急いでスマホを叩きDM飛ばす僕。


 そんなの聞いていない。なんで教えてくれなかったんだ!


 そのホストクラブはこの騒動に関係ないけど、それは間違いじゃないか新宮領レオさんよお!?


『そうだよ』


 ――返信来た! 真那月からか。


『教えてくれてもいいのに』


『ほんじょーなら当日でも気づくって新宮領が言ってたの。だから黙ってた』

『いやまあ今知ったからいいけど、さすがにタイミングが違くない??』

『なんで?』

『何でって……』

『いい? 私たちはあかぼんに屈しない。明日はお店の売上げとスパチャ合わせて一千万売り上げる予定。私はヘルプでお店に行くからその時間は連絡取れない』


 いやいやいや勝手だよ!


 屈したくないのは充分わかる。


 それぞれ思いがあるのもわかる。


 でもそれは終わってからやることだ。


『明日はあかぼんの大軍が押し寄せる。配信荒らされて閉じることになっても僕は救えない』

『いい? 私たちは隙間産業で稼いできた隠れ者。でもやってきたことを恥ずかしいと思わないし、だから今があると思ってる。アダルトバーチャルエージェンシーはやれる集団だってことを知ってもらう。私たちは逃げも隠れもしない』


 ……そこまで言うのならしょうがない…………のか。


『少しヘコんでたけど明日は盛り上げる。こういうとき私は逃げてきたけど、振り返るのはあとにする。明日よろしくね♡』





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