第121話 大泥棒、ここに極まる⑨
「並等さん。今夜空いてる?」
「な、何……?」
「大事な大事なことがあって」
「むー。ハッキリしない男。言いたいこと言えばいいじゃん」
「付き合ってほしい」
「はぁ!?」
「そんなに驚く??」
「つ、付き合って……はぁ!? ほんじょーごときが!?」
「?」
「無自覚系男子みたいに首を傾げるな!」
何を言ってるんだこの子は……
「違うよ。今夜プチイベントでナイトプールパーティーがあるじゃん? みんながイベントに行くだろうから銀行の警備が手薄になると思うんだよね」
「待って今日やるのそれ? みんなわちゃわちゃしようと思わないの? ナイトプール行きたくないの?」
「うん」
そりゃイケイケな兄ちゃんとエチエチな姉ちゃんが集まる場所に僕が行くわけないじゃない。
「即答……私はプール行きたいっ。大好きな歌い手さんが来るって聞いてるからお話ししたいの」
「また今度にしようか」
「殴られたいの?」
「考えてご覧なさい。もう九日目だ。あと二日で終わるんだよ? このままじゃ、ただスト鯖にいた人って認識になっちゃうし次呼ばれるかわからない。そのくらい僕たちは何もしてない」
「だからってこれとは別でしょ? 頭大丈夫? みんな集まってワイワイやるのに行かない理由なんてないでしょ」
「偉人は言った……みんなが見てないところで努力できた人こそが大成するって」
「勝手にやってて。知り合いのVの子に誘われてるから。じゃっ」
「あっ、ちょっと!」
行ってしまった。
もう。わがままな子だ。
ナイトプールなんて若い男女が影でエッコラエッコラする場所(偏見)なのに、行ってどうするんだ。
というかダメ元で聞いてみたけどやっぱり断られた☆ そりゃそうだよねー。
そりゃ僕だって行きたい気持ちはあるよ。行きたいけど端っこで
大物配信者や人気者が集まるのに僕が行ってどうする。
でも楽しいんだろうな~。
……ちょっと行きたくなってきたな。
待て待て。
役割を忘れるな。仕事を思い出せ。
でも……話してみたい配信者さん多いし、Amaterasuの関係者や藤井さんとかもいるだろうな。
ちょ、ちょっとくらいなら行ってもいいかな?
最初だけ!
ちょっと顔出して帰る! 先っちょだけって思えば大丈夫だよね!?
スタートまで三十分あるしまだ助かる。マダガスカル。
☆★☆
来ちゃった☆
「えーみなさんよくぞお集まりいただきまして。本日司会をつとめる――」
ふぁー凄い数だ。
参加者多かったんな。
しっかし未来都市なのにこのために用意しましたって感じのプールだ。
街にプールがあるなんて知らなかったよ。
「あはははは! あの時ポリスに追われて死ぬかと思ったもんな!」
「はじめまして~Vやってます~」
「来月のコラボなんだけどさ~」
なんか楽しそうな声が聞こえるな。
いいな……混ざりたい。
「ほんじょー。来たんだ」
「うわっビックリした!?」
「驚きすぎ」
「すんません」
この低いやる気のない声はよく知ってる。
「カジノ、楽しそうじゃん」
「やります?」
「やだ」
「なんか僕が言うと大変失礼だろうけど、みずきさんもこういうとこ来るんですね」
「まぁ、しゃーない」
「リアルでも行くんですか?」
「死にたいの?」
「生きたいです!」
危ない! 言葉が鋭利だった!
「絶対行かないけど、雰囲気知らないで苦手って言うのは違うからさ」
ごもっともだ。
「カラオケ来てくれたのも意外でしたけどね」
「歌うのは好き」
「また行きましょうよ」
「デート?」
「遊びに行くだけ!」
「残念」
「はいはーいみなさん注目~! 今からミニゲームするので二人組を作ってくださーい!」
「あっ二人組ですって」
「しょうがないから私が組んであげる」
「その言葉、そのまま返します」
「あっ?」
「冗談ですよ!」
流れでみずきさんとペアになった。
「最初のミニゲームは……ドキドキ☆パリピゲ――ム!」
久しぶりに書いたから口調とか違ったらごめんね。
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