第102話 初日終了
「じゃあ僕はここで落ちますね」
「ほんじょーまたね」
「また明日やりましょう」
「うん。続きは刑務所でね」
みずきさんが現れてから事態は収束に向かい、ログアウトし始めた人が増えたので今日はお開きになった。
「あそこには戻りません。僕はアルバイトの最中ですから」
「バイト中になんでポリスに囲まれるの?」
「それは僕が人気者だからです」
「寝言は寝てから言うもの」
「はい。おやすみなさい」
別れの言葉を告げてから僕はゴミ箱に入ってログアウト。
いや~初日から大荒れだなこれは。
濃すぎてめっちゃ疲れた。
喋りすぎて喉も痛む。
『ほんじょーお疲れ』
『女の子におやすみって言いやがって』
『俺は毎日言ってるけどな』
『モニターに向かって言ってるんだろ?』
『可哀想』
「どうでしたか初日の配信は。僕はとにかく疲れました」
『なんか修学旅行みたいだった』
『普段話さない子と同じグループになって、互いに探りながら話すあの感じな』
『お前そもそも行ってないじゃん』
『行ったわボケ』
『俺は風邪引いて行けなかった』
『引き籠もってたから行ってない』
『お、おまいら……』
「まだあれでしたよね。初日なんでみんなグループとか作らず暴れてましたね」
『スト鯖はいつもそんなもん』
『これからが面白いよな。チーム組んだりしたり、過去の犯罪がバレて捕まったりするもんな』
『毎回ドラマが生まれてマジで面白い』
『ほんじょーはちゃんとチーム組める? ひとりぼっちになったりしない?』
「ははは愚問ですね。僕はいつも班分けに誘われず余った同士で気まずい顔してましたから。観光も女子が勝手に決めるから言われるがままにしてたし」
『お、おまえ』
『もっと可哀想なやついたわ』
『同情するよ』
『哀れだな』
「みなさんだって一緒でしょ! 班分けほど心がぎゅーってなる時間はないんだから!」
毎回変な汗が出て、動悸がして、呼吸が荒くなったのは秘密。
「もう少し話そうかと思いましたけど……眠いんでここまでにします。ではさようなら~」
締めの言葉で配信を閉じる。
そしてグッタリうなだれる僕。
今日は疲れすぎた……
半日近く配信したから耳がキンキンしてる。
毎日長時間配信してる人は凄いや。
残り十日。
しっかり休んで明日に備えよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます