第96話 ただいま、刑務所
どこか懐かしさを感じる鉄格子。
ウォシュレット機能がなさそうなトイレ。
無造作に置かれたベッド。
そう、ここは……
「私たち何もやってないですよぉ! やるとしたらほんじょーです!」
檻の中だ。
「やかましいわコラ! 大阪やぞこっちは!」
「私は東京です!」
「あっ僕は新潟」
「出身地なんて聞いてないわ! 犯罪者は黙っとれい!」
あの宝石店で起きたこと。
誰かが強盗に入りポリスとドンパチが始まった。
その騒ぎを聞きギャングが集結したが、戦力差によってあえなく撃沈。
結果、何人もムショにぶちこまれてしまう。
「よーし聞けお前ら。今回の首謀者は誰なんだ?」
「知らないよブーブー!」
「僕ではないですね」
「いや、そこのほんじょーがやった」
「ほんじょーが悪いよほんじょーが」
「なんで僕なんですか!?」
全員が話すから聞き取りづらいけど確かに僕の名前が聞こえた。
「おいポリスメン。考えてみろよ開幕間もなく指名手配されたのはそこの二人だ。なら、誰がボスかわかるよな?」
「違いますよ!」
「てかなんでほんじょーたちだけ所持金多いんだ? 俺たちなんて小銭しかないぜ?」
ぐっ……それは……
「みなさんがポリスにビビるから私たちが先陣切ってコンビニ強盗したんです!」
ダメやこの子。
「聞いたかポリスメン? 俺たちはほんじょーの片棒を担いだだけだ」
「肉棒を……」
「おいBANされるぞ」
くっそみんな好き勝手喋りやがって!
僕たちに責任をなすりつけて逃げる気だな!
そうはさせないぞ!
「はいポリスさん! 夜叉さんがあの場にいましたよね??」
「知らんな」
「指名手配の僕を現場に連れてきたのは夜叉さんです! もしかしてポリスと繋がるギャングがいるんじゃないですか?」
「知らんがな」
「ギャング側から情報の横流しがあると知られれば大変ですもんねえ……? ポリスのメンツ丸つぶれです」
「おいこのクソガキを社会的に潰せ」
「大人をバカにしたな?」
「俺たちにもやらせろ」
なんだよこの汚い大人たち!
「私にも言い分があります!」
「ダメ」
ポリスに却下される並等さん。
「うう……酷いよこんなの……うえーん!」
「あー女の子泣かしたー!」
並等さんが泣き出すと急に味方に回るギャングの配信者たち。
「あーあーいけないんだ~」
「だから結婚出来ないんですよ~」
「婚期が逃げていく~」
「婚期って言ったなほんじょー?」
なんで僕の単語にだけ反応するん?
「俺だって結婚してーよ! いちゃいちゃしたいよ! 夫婦配信したいよ!」
突然泣き声になるポリス。
情緒どうなってんですか。
「わかるよポリスメン。ここから出してくれたら女の子紹介する」
「その子はどんな子なんだ?」
「まずは明るい」
「最高」
「気遣いができる」
「神」
「怒らない」
「もう惚れた」
「巨乳」
「小さくてもいい」
「腕が七本ある」
「人間を紹介しろタコが!」
ギャーギャー盛り上がる大の大人。
もはやついていけない。
小学校の昼休みじゃんこれ。
「ほんじょーはどんな子がタイプなの?」
気になった様子で聞くのは並等さん。
なんか、好きそうだよねこういう会話。
「僕は……かくとうタイプで」
「ん?」
「腕が四本あって」
「は?」
「ちきゅうなげができるあの……」
「それポケ○ンのカイ○キーでしょ!」
バレちゃった。
「オラァうるせーぞ犯罪者ども! いいか、これからウソを見抜くゲームをするから静かに待ってるんだぞ!」
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