3.サヤのこれから……
サヤはしばらくトボトボと歩いて橋までたどり着き、橋の上から流れる川をジッと眺めて溜息をついた。
「これからどうしよう……」
サヤには故郷に帰るという選択肢は存在しなかった。
というのも、父親はギャンブルと酒に溺れるようなダメ親父で、母親も母親で別の男と腹を痛めて産んだ娘を置いてさっさと出て行ってしまった。
故に、サヤはそんな最低な父親との2人暮らしをするハメになった。父親はギャンブルと酒に溺れていたので、よくトラブルを起こし血まみれで帰ってくることが多かった。しかも、そういう時に限って、サヤに八つ当たりの暴力を振るった。サヤが血を見ると吐き気をもよおしてしまうのがこれが原因であったりする。
このまま、父親と2人で暮らして自分はいずれ父親に殺されるんじゃないかと思った矢先に、彼女に転機が訪れた。彼女の適正職業が「魔剣士」である事が発覚したのである。娘を立派な「魔剣士」にすれば一生遊んで暮らせると思ったサヤの父親は、あの当時から女好きで有名なギリアスに売り飛ばす形でサヤをギリアスのパーティーに送ったのだ。
サヤは最初は戸惑いを隠せなかったが、親から独立出来て、尚且つ、自分のような者が誰かの役に立てると思ったら、魔剣士として頑張って生きていこうと決意したのである。
しかし、結果はこの通り。今更、サヤはあの父親の元に戻る気なんてない。かと言って、これから自分がどうやって生計を立てていけばいいのかも分からない。魔剣士として生きていくには、サヤには越えなければならない壁があった。
「本当に……私みたいな役立たずは消えて無くなった方が……」
そんな想いがサヤの頭によぎった時、ふと、彼女の視界に遠くの方から煙が上がってるのを確認出来た。
「あの方角……まさか……!!?」
サヤは、数日前にエルフの美女にお酌されたいからとギリアスがワガママを言って行ったエルフの里が、煙が上がってる方角にあるのを思い出した。
サヤは自分に何か出来る事はないと分かっていても、無視することが出来ず、彼女は一目散にエルフの里まで駆け出した。
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