6.歌の指導者

何故か歌が下手……というレベルを通り越してるが、それをラナとシアに説明したくないサヤ。もうなんとなく察したコロナだが一応聞いてみることにした。


「で、何でラナとシアちゃんに説明したくないんですか?」


「そんなの決まってるじゃない!!2人のカッコいいお母さん像を崩したくないからよッ!!!」


やっぱりだった。ラナとシアはサヤの事を敬愛を通り越して崇拝してるようなところはある。サヤもサヤで2人をガッカリさせない為に必死になんでもこなしてしまう為、2人の娘は益々サヤをそういう目で見てしまうのだ。


「けど、だったらどうするんですか?どうせサヤさんはラナちゃんとシアちゃんの頼みは断れないんでしょ」


「当たり前でしょ!!」


「けど、アレは数日ぐらいで治せるレベルじゃないですよね?」


「うっ……!?それは……そうだけど……」


コロナの指摘に思わず口ごもってしまうサヤ。コロナの言うアレとはもちろんサヤの歌(?)の事である。


「あのぉ〜……だったら……サヤさんの歌については説明せずに、歌が上手い人に指導を任せてみたらどうでしょうか……?」


ようやく、サヤの歌声(?)から復活したコタローが、困ってるサヤにそうアドバイスした。


「実際にサヤさんは歌は素人ですから、人に教えるのは難しいと言って誤魔化して、歌が上手い人に来てもらってラナちゃんとシアちゃんの指導をしてもらったらどうでしょうか?」


コタローの提案に先程まで暗い表情をしていたサヤが目をキラキラ輝かせた。


「それよ!!そうよ!!その手があったか!!ありがとう!!君!!」


サヤからのお礼に、コタローはデレデレしながら「そんなぁ〜。それほどでもないですよ〜」と言って頭をかくコタロー。そして、その後すぐにサリーとエリナに同時に脇腹をつねられるコタロー。

コタローの提案は実はコロナも思いついてはいた。が、ラナやシアにもいい機会だからサヤにも出来ない事はあると教えた方がいいと思って言わなかっただけだ。決して、昨日大量の魔石を持ち込まれ徹夜作業させられた腹いせとかではない。決して。


「けど……そうなると問題は歌が上手い人ね……2人に教えるんだから、ちゃんと信用出来る人でめちゃくちゃ上手い人でないと……そんな人いるかしら……」


『えっ?』


「えっ?」


サヤの言葉にコロナ達は驚きそんな声をあげるので、サヤも同じように驚きの声をあげてしまう。


実は……サヤの言う条件にピッタリ当てはまる人物がサヤの身近にいたのだ。その人物は……

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