2.「マリステル」王都会議2
「マリステル」第三王子であるクロード。彼は兄2人やその派閥の貴族に睨まれながらも、しっかりと自分の意見を口にした。
「そもそも、その噂の双子エルフが『神子』であるという確証がない上に、それでその子らを無理矢理こちら側に引き寄せようとするなんて色々リスクありすぎるだろう」
クロードの言う通り、まだ「テリュカ」にいる噂の双子エルフが『神子』であるという確証はとれていない。その上で、ユーリの策に至っては、金の無駄遣いになるし、ローレンの策に至っては論外と言わざるを得ない。しかし、クロードの言葉に、上2人の兄は鼻で笑って馬鹿にする。
「ふん。所詮は平民の娘から産まれた子。弱腰な発言だな」
ユーリの言葉に、ローレンも同意するように頷く。その言を受けたクロードは沈黙で返す。実際、クロードは上2人の兄とは腹違いの子であり、母は平民だった。2人の言葉を事実なのだから仕方ない。
「まぁ、いい。そんなお前にもちゃんと情報を与えてやろう。噂の双子エルフだが、『神子』であるという事が判明した」
そうはっきり断言するローレンに、クロードは片眉をピクリと上げる。ユーリもローレンの言葉に驚愕の表情を浮かべている。
「それは確かな話なのですか?」
そう発言したのは、この国の公爵家の1人で、この国の政を取り仕切っている宰相のムスカ・アイワーンだ。
「確かだ。俺が命令して双子を攫えと言った暗部の者が、双子を攫うには失敗したようだが、「テリュカ」の国王が双子を調べた結果の情報は得られとの事だ」
ローレンはムスカにそう答えた。しかし、この発言に激昂したのはユーリだった。
「貴様……!?勝手なマネを……!!?」
「俺は貴様と違って日和見主義者ではないからな」
ユーリの激昂の言葉に、ローレンは鼻を鳴らしてそう返した。そして、またしても2人の兄弟喧嘩が開始される。クロードはそんな上2人の義兄の話を聞きながら思案にふける。
(あの「テリュカ」の国王が……そんな重大情報を外に漏らすようなマネをするのか?)
「テリュカ」の国王は大変優秀な賢王であるという噂は、クロードの耳に届いている。上2人の義兄はあくまで噂だとバカにしてはいるが、クロードは「テリュカ」の発展ぶりから考えても噂話と切り捨てて考える事が出来なかった。
「では、私もクロード王子と同じく「テリュカ」の双子エルフをこちらに誘うのに反対する」
まさかのここにきて、クロードの意見に賛同したのが、宰相のムスカだった。
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