三章:テリュカ武闘祭

1.「マリステル」王都会議1

ここ、王都「マリステル」では王族と貴族が集結し、王都会議が行われていた。最近、「マリステル」では頻繁に王都会議が行われていた。その頻繁に行われている議題もいつもと同じ物である。


「やはり、ここは相手側を買収すべきだろ。相手は冒険者なんだ。多額の金をチラつかせてやれば応じるに決まってる」


そう発言したのは、「マリステル」の第一王子のユーリ・マリステルである。金髪の髪をかきあげ、得意げな表情でそう言うユーリに否を申し立てる者がいた。


「我が国のどこにそんな金があるといのだ?やはり、今こそ!「テリュカ」に攻め入るべきだ!」


否を申し立てそう発言したのは、第二王子のローレン・マリステル。彼は机をバンと叩いて周りを鼓舞し始める。


「それこそ我が国に戦争を行うだけの予算がどこにある!?冒険者1人を買収する方が安く済むに決まっている!!?」


「その冒険者を優遇したせいで金策に陥っているのだろう!欲しいものは力ずくで奪うべきだ!今こそ我が国が大国であると示すべきだ!」


そして、いつものように2人の言い合いが始まろうとしていた……




「マリステル」では、「テリュカ」に住む双子エルフが噂の『神子』の可能性があると分かってから、このような不毛な会議が続けられていた。


第一王子のユーリは、お金で双子のエルフを買い取るべきだと主張


第二王子のローレンは、武力をもって「テリュカ」を制して、双子のエルフも手に入れようという主張


この2人の主張が常にぶつかり合い、議題内容が決まらないまま終わってばかりいる。しかも、2人の内どちらかが次期国王候補というのもあり、貴族達もユーリ派とローレン派に分かれて意見をぶつけ合っている為、余計に議題がまとまる事がない。


が、なにも「マリステル」の王族と貴族が全員このような腐った意見を持っている者達ばかりではない。


「そもそも、俺は双子のエルフちゃんを無理矢理こっちに引き入れる事自体反対なんだけど」


この場でキッパリとそう発言したのは、第三王子のクロード・マリステルだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る