18.コタローの弟子入り志願

翌朝……


サヤはいつも通りに目覚めて、いつものように朝食の支度を開始した。ただ、いつもと違うのは、今日の目覚めにはいつも感じる愛おしい温もりが無かった事。

何故なら、今日はラナとシアは友達を連れて来ているので、今日は自分達の部屋で友達と一緒に寝ている。その事に一抹の寂しさを感じながらも、気持ちをすぐに切り替え、ラナ達の喜ぶ顔を想像しながら朝食を作り始めるサヤ。


そして、朝食のいい匂いに誘われたのか、ラナ達がみんな起き始めてきた。もうラナ達が起きた時には、朝食を作り終えていたサヤは、ラナ達に顔を洗ってくるように言って、ラナ達が顔を洗って戻って来た後に朝食タイムとなった。

昨晩と同じく、カリンが再び家の食料を食べ尽くさん勢いで食べ始めたりと、いつもとは違う賑やかな食卓も終わり、サヤは皿洗いをし、ラナ達はたわいもない世間話というガールズトークに花を咲かしていると……


ピンポ〜ン!


魔法呼び鈴の音が鳴り響いたのでサヤは首を傾げる。こんな朝早くに誰が?と……


「お母さん。私が出ようか?」


「いいえ。皿洗いもひと段落したので私が出ます」


本当はまだ少しだけ洗い終えていないのが残っていたが、ラナとシアが狙われているのを知ってるサヤは、2人に来客の対応をさせるのを避けたがっていた。なので、サヤはすぐに手を拭いて扉の前まで行き扉を開けた。


「はい。どちらさ……あなたは……コタロー君……?でしたよね……?」


訪ねて来た意外な人物にサヤは更に首を傾げた。それは、以前の事件から、時々話すようになった新米冒険者のコタローだった。コタローがここを訪ねる時はいつもコロナや、サリーやエリナと共にやって来るのだが、今回はコタロー1人で訪ねて来たので、サヤは少しだけ驚いていた。


「はい。コタローです。その……実は……サヤさんにお願いがあって来ました……」


「お願いですか?」


「はい…………サヤさん………………僕を…………弟子にしてくださいッ!!!!」


「……はい?」


ものすごく綺麗な土下座で弟子入りを志願するコタローに、サヤはますます困惑して首を傾げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る