31.地獄の時間

グラニフにゆっくりと近づいて行くサヤ。グラニフは完全に恐怖でへたり込んでしまっていた。


(くそう……!?くそう……!?あんな高い金払ったのに偽物かよ……!!?)


グラニフは怒りの矛先を先程スバルに使ったソレにぶつける。高位治癒術師でも簡単には治せないと聞き、念の為高値で取引して得た結果、サヤにアッサリと回復させられたらグラニフでなくてもそう思うだろう。


しかし、グラニフが手に入れたソレは偽物などではなかった。現に、スバルがその状態に陥っていたのがその証拠である。

だが、サヤが高位治癒術師よりも治癒魔力が高すぎたのである。それが、グラニフの明暗をわける形になったのだ。


サヤは再び片手を上げ、グラニフに魔力を放つ。それはグラニフに命中するが、グラニフは吹っ飛ばされるどころか、傷一つついていなかった。その事に驚くグラニフ。


「お前……!?一体何をしたんだ……!!?」


「あぁ、どうやら魔法に失敗したようね。あなたに30分攻撃を受けても回復する魔法と気絶する魔法をかけてしまったわ」


ものすごくわざとらしくそう言うサヤ。それを聞いたグラニフは、サヤを嘲笑うように立ち上がり、武器の斧を手に持ち構える。


「クッハハハハハ……!こんな時に失敗するとは傑作だな!所詮はゴミ屑はゴミ屑だな!!」


グラニフは勝利を確信していた。30分間攻撃を受けても回復し、気絶も無効なら自分の方がランクが上だし、絶対に勝てるとそう信じていた。


だが、当然ながらサヤが失敗してそんな魔法をかけるはずはなかった。


グラニフは斧でサヤに攻撃するが、サヤはそれをアッサリ片手で受け止め、その斧を奪い、紙屑のように丸めて捨てた。

自分が高い金を払って作った斧が紙屑のように扱われ驚くグラニフ。そんなグラニフの腹に、サヤは思いっきり拳を一発叩きこむ。


「ぐぼほおぉ!!?」


サヤの一撃を受け苦悶の声をあげるグラニフ。しかし、当然ながらサヤがこの一発で止まる訳がなかった。


「ぐぼあぁ!?がばぁ!?げはぁ!?びぃぎゃぁ!!?」


サヤは拳の連打をグラニフに浴びせ続ける。


(痛い……!?痛い……!?いだぁい……!!?ぐぞう……!?やっばりあいづのごどばはうぞがあぁ!!?)


いや、サヤは嘘は一つもついていない。現に、グラニフは骨が折れたり、臓器がいかれたりしてもおかしくない一撃を受け続けても、常に回復し続けてる為骨も臓器も無事である。ただ、サヤは痛覚無効にはしてないだけで……

そして、自分の魔法の力をよく理解してるからこそ、サヤは本来なら自分が本気で殴ったらグラニフを殺してしまう事が分かってる為、それなりに手加減してきたが、今回は自分のありったけの力を込めて殴っていた。


更に、現在グラニフは気絶無効状態である。だから、どれだけ拳を浴びせられても気絶する事が出来ない。


(これなら…………死んだ方がマシだ…………)


グラニフは本気でそう考えながら、30分間サヤの本気の拳を受け続けた……

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