6.絶望から繋がる希望

サヤは苦手な血の匂いが充満するエルフの里でポツンと座り込んでいた。自分は結局誰一人助けられなかった。双子の赤ん坊は無事だが、この子達の命を救ったのはあの母親エルフであって自分ではない。


「何が……魔剣士よ……何が自分みたいなのでも誰かを救えるようになりたいよ……結局……私は……」


そんな風に呟いていたら、ふとギリアスの言葉が頭に浮かぶ。


「お前は本当に役立たずのゴミ屑だなぁ!!!」


本当にその通りだ。この里の住人誰一人として救えていない自分なんて……もう……役立たずのゴミ屑以下ではないか……


サヤはマグナスから貰った剣を持ち、そのままその剣の刃を自分の首に向け始めた。


が、次の瞬間……


『おぎゃあぁぁ〜!!?おぎゃあぁぁ〜!!?おぎゃあぁぁ〜!!?おぎゃあぁぁ〜!!?』


双子の赤ん坊エルフが2人同時に泣き始めたのだ。サヤは慌てて剣を置き、双子の赤ん坊エルフを見る。


双子の赤ん坊エルフは必死で泣いていた。サヤにはその泣き方が、生きたい!生きたい!と強く訴えかけているように感じた。サヤは思わず再び涙が溢れ始めた。

この子達の未来はまだ始まったばかりなのに、いきなり両親を殺され、こんな頼りない自分に託されて……それでも、生きたい!と強く自分に訴えてきているのだと、サヤはそう感じた。


「しっかりしなきゃ……!私が……!この子達の母親として……!この子達を私と同じようにしない為に……しっかり育てなきゃ……!!」


サヤはついに決心する。この双子エルフの赤ん坊の母親になる決意を。


そして、そのサヤの決意が、サヤの奥深く眠っていた超強力スキルを呼び覚ました。



ユニークスキル『マザー』を獲得しました。


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