34.ラナとシアの鑑定結果
エイーダは一枚の書類を見て重い溜息をつく。前までは沢山積まれていた書類が、最近痛いおもいをした為か、机の上にはその書類一枚だけになっている。だが、エイーダにはその書類がどの書類よりも1番重く感じて再び溜息をついてしまう。
「どうされたんですか?陛下。先程から溜息ばかりついて……」
あまりに溜息ばかりをつくエイーダにクリステアは声をかけた。
「その書類……ラナちゃんとシアちゃんを鑑定した結果ですよね?何か悪い事でも書かれていたんですか?」
実は、ラナとシアが『神子』であるかきちんと確かめたいと、サヤを必死に説得し、ラナとシアの髪の毛を提供してもらい、2人が『神子』であるかを鑑定し、その結果が書かれたのが机の上にある書類である。
「まさか……またサヤさんに渡し忘れたとか……?」
「流石のワシもアレ程の目にあって同じ失敗は繰り返さんわい……結果が出たと同時に、結果の写しと髪の毛を返すようにクロコに言っておるわ」
エイーダは苦い表情でそう答えた。
「では、何か問題でも?」
「結果が問題じゃ……ラナとシア……どっちも『神子』の力を有している事が分かった……」
「やはりですか……でもそれが一体何の問題が?」
クリステアはエイーダの溜息の意味が分からずに首を傾げる。エイーダは再び溜息をつき
「2人共が『神子』であるという事が問題じゃ。2人も『神子』がいるなら片方を寄越せと要求されそうじゃろ……」
「なるほど……確かにそれはあるかもしれませんね」
エイーダの説明でようやく合点がいったクリステアも、エイーダと同様に溜息を吐く。それだけ、「マリステル」という国が切迫詰まってるのを2人は理解していた。
「まぁ、当然その要求をサヤが受け入れるはずがない。仮にサヤにそれを要求したり、無理にでも2人を引き離そうとしたら……」
「陛下の尻叩きよりも酷い目にあうのは目に見えて分かりますね」
「……数日間椅子に座れないでは済まされんじゃろうな……」
思わず2人揃って重たい溜息をつく。エイーダとクリステアはその後も、なんとか方策はないか考えたが、結局何も思い浮かばず、しばらく様子見する事しか出来ないという判断しか出せなかった……
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