11.エマージェンシーチェック
突然現れたサヤにスバルは困惑するが、すぐに突っかかっろうとする。
「あぁ!?誰だよ!?あんた!いきなり変な事言い出して!!?」
「あぁ、『スタンピードクラッシャー』のサヤさん。いらっしゃい」
「ス……!?スタンピードクラッシャー……!?こい……いや!この人が……!!?」
スバルとエリナは、あえてコロナが強調して言った「スタンピードクラッシャー」に驚愕する。噂には聞いていたが2人共実在してるとはあまり思ってなかったのである。その辺は、コタローやサリーもあの現場に遭遇するまで同じだったのだが……
それだけでなく、サヤは大人びた感じはあれど、まだ十代と言われてもおかしくない程の見た目だった。だから、スバルは自分より2つ上の、ちょっと自分より経験がある冒険者ぐらいにしかサヤをそう見れなかった。実際は、スバルよりも10個上の25歳なのだが……
「それで、サヤさん。証拠があるとはどういう事ですか?」
コロナがサヤにそう尋ねたら、何故かサヤに呆れたような視線を浴びせられるコロナ。
「ちょっ!?なんでそんな目で私を見るんですか!!?」
「あなた、仮にもギルドの受付やってるのにエマージェンシーチェックの存在を忘れてどうするのよ……」
「エマージェンシーチェック……あっ!そうでした!エリナさん!冒険者証を!」
「えっ!?あっ!?はい!!」
いきなりコロナはサヤに冒険者証の提出を促され、エリナは反射的にコロナに冒険者証を提出する。
「エマージェンシーチェック……そっか!その手がありましたね!」
「エマージェンシーチェック……?」
「はい。私も今思い出したんですが、エマージェンシーチェックは……」
エマージェンシーチェックの事を忘れてしまっているコタローにサヤは説明をする。
エマージェンシーチェックとは、冒険者には常に危険がつきまとっている。魔物に襲われて死亡する冒険者も沢山いる。そして、その冒険者が見た魔物や襲われた状況などの情報は、今後他の冒険者の活動にも必須になってくる。
そこで、ギルドは冒険者証に微弱な監視魔法を設置し、もしも冒険者が亡くなった時、冒険者を殺した相手の情報を突き止める為の情報源にしようとしたのだ。
しかし、当然ながら反対意見はあった。道徳観に反するやら、女性の場合だと、そう言う見られたくない場面を死んでから誰かに見られるなんてなど、様々な意見があったのだが、やはり自分達が活動する上での情報は必須なのと、ギルドの鑑定システムの向上により、プライバシーなシーンはカットされる事が出来るようになったので、反対意見は徐々に無くなっていった。
「ちょっ!?待てよ!?その説明なら、エリナは死んでないんだ!?エマージェンシーチェックはやれないだろう!!?」
自分の罪が暴かれるのを恐れて、慌ててそんな事を言うスバルだが
「あら、問題ないわよ。冒険者は色んな事件にも巻きこまれやすいもの、今回みたいなトラブルの為にエマージェンシーチェックをやる事だってあるわ。まぁ、そこにいるお嬢さんが望めばになるけど」
サヤはチラッとエリナを見てそう言った。エリナの答えはもちろん
「コロナさん。エマージェンシーチェックをお願いします」
「なっ!?ちょっ!?待てよ!!?落ち着いて話を……」
スバルがそう言ってエリナに近づこうとするが、コタローが素早くスバルを取り抑える。
「なっ!?コタロー!?テメェ!?何しやがる!!?」
「これ以上仲間を傷つけさせる訳にはいかない」
なんとかコタローからの拘束を振り解こうとするスバルだが、コタローの方が力が強く、結局悪あがきを断念するほかなかった。
その間に、コロナがエリナから襲われた時刻を聞いて、その時間帯に鑑定システムを作動させ
「それでは、映像出します」
エマージェンシーチェックと鑑定システムにより、その日起きたスバルの愚行が映し出された。
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