31.エイーダへのお仕置き

目を泳がせあからさまに動揺するエイーダ。気づけばサヤの目がスッと細くなっている。


「い……いや……その……言おうとは思っておったんじゃが……国家間の話故に簡単には話せなくてな……」


エイーダがしどろもどろになって口にした言葉がソレだった。サヤの目がだんだんと細くなる。エイーダは冷や汗を流しながらもコレで強引に押していくしかないと判断したが……


「仕事をサボって仕事に追われていたから話す暇がなかっただけですよ」


「ちょっ!?クリステア!!?」


まさかの身内からの裏切り行為に飛び上がって驚くエイーダ。サヤも「なるほど」と呟いてエイーダをジト目で睨んでいる。


「いや……!?実際国家間の話だから迷っておったんじゃ……!?アルテミスの奴にも慎重に行動した方がいいと言われたしの……!!?」


「アルテミス様からはさっさとサヤさんに言った方がいいと言われたのではありませんでしたか?」


「クリステアぁ〜!!?」


まさかの2度目の裏切り行為に動揺しまくりのエイーダ。よく見れば、クリステアはにこやかに笑っているものの、目が全く笑っていない。これは、自分が何回も仕事をサボっているのを根に持っているなとエイーダはそう直感した。サヤはそんなクリステアの方を振り向いて


「今日のエイーダの仕事の予定はどうなってるのかしら?」


と、そんな事を尋ねたので、クリステアは笑顔でサヤの質問に答える。


「そうですね。まだまだ仕事は溜まってますが、私達は慣れてますし、今日一日は陛下とゆっくり語らっても大丈夫ですよ」


「いや……仕事が溜まっておるなら仕事をせんと……」


「大丈夫ですよ。陛下。今日一日話せなかった分しっかりとサヤさんと話してくださいね」


クリステアはそう言って笑顔を浮かべたまま立ち去ってしまった。この部屋にはもうエイーダとサヤしか残っていない。エイーダはすぐに戦術的撤退を試みたが……


「ぎゃあん!!?」


エイーダは再びサヤの「魔法拘束鎖」によって拘束されてしまった。最早、エイーダの逃げ道はどこにもなかった。


「心配しなくても、あなたへの罰は他の人に比べたら1番軽い物よ」


「本当か!?絶対にそうなのか!!?」


「えぇ。だって、子供だったら悪さをしたら一度は経験した事があるお仕置きだから……」


「へっ?なっ!?ちょっ!!?それって!!?」


その罰の内容に思い至り必死に逃げようとしたが時すでに遅し。



「ぴきゃあぁぁぁぁぁ〜ーーーーーーーー!!?」


その日、エイーダの泣き叫ぶ声とが王城に響き渡った……



そして翌日……エイーダは何故かしばらく椅子に座れず、何故ずっと立ったままなんだ?と疑問に思った家臣が大勢いたという。ちなみに、エイーダがようやく椅子に座れるまで回復したのはアレから3日経った後だった……

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