4.無意味な魅了
全く自分の魅了が効いてない様子のラナの反応に動揺するエリック。確かに、子供には大人の魅力が分からない為魅了が効かない所はあるが、それでも老若男女問わずに魅了してきたエリックは動揺していた。
(もう1人の方は……!?)
エリックは双子のもう1人には効いているのではとシアの方を振り返ったが
「んぐんぐ……もぐもぐ……」
もう1人の方は自分達に全く興味を示さず両手いっぱいにある食べ物の消化に勤しんでいた。まさか2人も自分達に魅了されてない事に、エリックだけでなくエリックのパーティーメンバー達も動揺している。
(んなぁ!!?バカな!?くそぉ!?こうなったらぁ!!?)
「そんな事言わずに。お嬢さん。私達がお嬢さん方を知らない世界へ導いてあげますよ」
エリックは本来は魔物にしか使用してはいけない魅了の魔法を使用した。これを使用すれば完全に魅了されて自分の虜にさせてしまう魔物故に、人に使用をするのは禁止されているが、エリックは自分のプライドの為に使用した。が……
「ごめんなさい。私達本当に急いでいるので」
ラナはペコリと頭を下げてシアを促しエリック達から離れ、早くサヤのいる場所へと向かう為移動を開始した。
「お祭りには変な人が現れるから気をつけるようにお母さんに言われたけど本当だったなぁ〜。シアもちゃんと気をつけなきゃダメだよ」
「んぐんぐ……もぐもぐ……」
ラナとシアはそんな会話をしてエリック達から離れていく。そんな2人の言葉を受けてエリックは顎が外れそうになる程驚愕して呆然する。
しかし、この結果は当然で、ラナとシアは魅了という訳ではないがサヤが1番好きで敬愛している。魅了する相手にそういう相手がいる場合、その相手よりも魅力が高く無ければ魅了がかからない。魅了の力を行使しなければ魔物と対峙出来ないエリックと、スタンピードを1人でどうにか出来るサヤ、どっちが魅力的かは一目瞭然である。
だが、このままでは自分達のプライドが許さないとエリック達は再びラナ達に声をかけようとしたが
「……貴方達。先程彼女達に魅了の魔法を使用しましたね」
エイーダに指令を受けて影から2人を護衛していたクロコがエリックの肩を叩く。エリックは驚いて声のする方を振り向くが、エリックはクロコの顔を見る事なく意識が途切れた。
数日後、魅了の魔法を人へ使用した罪で「美の勇者」エリックとそのパーティーメンバーは逮捕された。
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