11.サヤの実力

「ぐおぉ!?何だ急に!?」


「体が重いッ!!?」


「身体中に大量の鉛を乗せられたみたいだ!!?」


グラニフの仲間達は全員グラニフと同様の状態に陥ってるようである。何故急にこうなったのか、原因は目の前にいる少女しかない。グラニフはサヤを睨みつける。


「てめぇ!?俺達に何しやがったぁ!!?」


グラニフがそう言うと、サヤはグラニフ達の方を振り向き


「別に。あなた達全員に鈍足の魔法をかけただけよ」


「俺達全員に鈍足の魔法だと!!?」


グラニフは有り得ないと思った。何故なら、グラニフとその仲間達はざっと数十人はいる。それら全員をまとめてほんの一瞬で鈍足の魔法をかけるなんて上級の魔導師でもなかなか出来ない芸当だ。それを、お荷物役立たずと言われたこの少女がやったなんてとても信じられない。

しかし、今のこの状態は確かに鈍足にかかったような状態であるのは、長年冒険者をやってるグラニフはそうだとしか言えない事態でもある。


(嘘だろ!?こいつはお荷物役立たずのゴミ屑じゃないのかよ!!?)


確かに、サヤはギリアスに散々役立たずだゴミ屑だと罵倒されてきた。だが、決してサヤに全く実力がないと言ったらそれは否定出来た。何故なら、サヤは少しでも戦闘の役に立とうと、支援魔法を強化してきた、支援魔法のエキスパートなのである。


支援魔法には、敵の能力値を下げたり、状態異常を与える下降魔法。味方の能力値を上げる上昇魔法。味方の傷を癒す治癒魔法の3つがあるが、サヤはその3つとも習得していて、レベルも上級魔導師以上であった。

おまけに、サヤは素早く支援魔法を放つ為に詠唱短縮のスキルも会得している。そのスキルももちろん上級魔導師以上。しかも、それらがユニークスキル『マザー』の影響を受けて上昇しているのだ。このような結果になっても不思議ではない。


「ぐっ!?舐めるな!?たかが俺達が鈍足にかかったぐらいで!お前1人ぐらいどうとでも出来るんだよ!お前ら!やれ!!」


グラニフに命じられ、グラニフの仲間達が鈍足にかかりながらもサヤに襲いかかる。


が、グラニフ達は何も分かっていなかった。サヤは別に鈍足の魔法をかけなくても、ここにいる奴らぐらい簡単に対処出来た。ただ、さっさと換金して子供達のミルクやらオムツやら買わなきゃいけないという頭があって、さっさと終わらせたいが為に魔法を使ったという事実に……


「ぐほぉ!?」


「がはぁ!?」


「げはあぁ!!?」


サヤは拳と蹴りだけでグラニフの仲間達を次々と倒していく。

サヤは、マグナスからもしも剣が折れたり無くなってしまったりした時の対処法として、格闘の技もいくつか教えてもらっていた。故に、剣を使わなくても彼らの対処ぐらいはサヤにとっては余裕だった。


そんなサヤの姿を見て驚くコロナとダンク。本当にアレが、いつも気弱そうにパーティーの隅にいたサヤと同一人物とはコロナには思えなかった。が、ダンクは驚くと同時に得心していた。


(お前の言う通りだったな……マグナス)


ダンクとマグナスは前に何度か冒険者稼業で気があってよく話す仲だったのだが、この前、マグナスと一緒に食事をした時に


「サヤ。彼女は俺以上の才能を秘めている。だけに惜しいよ。アレさえなければとうに俺すら追い越してるだろうに……」


マグナスは超優秀な戦士だ。だから、ダンクは流石にそれはないだろう。師匠の贔屓目過ぎると笑ってしまったが


(本当に彼女は……マグナス以上の才能があるやもしれん……)


長年冒険者稼業をやってきた者の勘がそう告げていた。


「くそぉ!!?こうなったら!!?」


グラニフの仲間の1人が、サヤをどうにかする為、大事そうに背負っている子供を人質にしてやろうと、そのエルフの双子の触れようとした。


が、サヤはすぐにその男の腕をガシッと掴み。憤怒の表情でその男を睨みつけた。


「その汚い手で、私の娘に触るなぁ!!!」


「ぐぎゃあぁぁぁぁ〜!!!!?」


腕を掴まれた男は潰れたカエルのような叫びを上げる。その男の腕はバキボキと骨が折れるような音がし、腕があらぬ方向に曲がっていた。男は泡吹いて気絶。おまけに失禁までしていた。サヤはそれを見てつまらなそうにその男を放り投げて、他にいたグラニフの仲間達を巻き添えにして倒す。こうして、サヤの敵は後……


「ぐうぅ……!!?」


グラニフ1人だけになった……

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