18.ようやくマイホーム購入……かと思えば……

サヤはコロナからお金を受け取った後、すぐに愛しの娘達と一緒に「テリュカホームショップ」に向かった。このお店が「テリュカ」で土地や建物などを扱っているお店である。

サヤ達は、この「テリュカホームショップ」で前に紹介された家を、今日買う為にやって来たのだ。


「いらしゃいませ」


「こんにちは。冒険者のサヤですけど、数日前に紹介していただいた家を購入しにやって来たんですけど」


サヤがそう言うと、何故か対応してる職員が苦笑を浮かべ


「申し訳ありません。サヤ様。その物件はもう売却されまして……」


と、そんな事を言い出したのである。これには、サヤも首を傾げる。


「数日前って言っても2、3日前ですけどもう売却されたんですか?」


サヤ達がその家を紹介されたのは2、3日前の話だ。2、3日の間で家一軒が売れるのはない訳ではないが、あまりない事例だ。だが、その答えは別の方向から返ってきた。


「その家なら俺らの部下のギルドホームとして購入させてもらったぜ!」


そう言って、あたかもサヤを待ち伏せていたように現れたのはグラニフ・テングス。彼もまた、この10年でダンクと同じBランクの冒険者になっていた。


「すみません。我が店としましても、Bランクの冒険者様を優遇しない訳にはいかず……」


「まぁ、そういう訳だ!潔くマイホーム購入を諦めるんだな!」


グラニフはそう言ってサヤに下卑た笑みを浮かべるが、サヤは無反応である。そのサヤの態度に、グラニフは心の中で舌打ちをする。


「まぁ、どうしてもって言うなら……お前が一晩俺様の相手をしてくれるなら考えないでもないが……」


グラニフは更に下卑た笑いを浮かべてサヤにそう言う。これには、ラナとシアが睨みつけてグラニフを威嚇するが、サヤが「反応しちゃダメよ」と注意して諌める。


すると……


「ちょっ!?お前!?何考えてるんだ!!?サヤ様!!本当に申し訳ありません!!グラニフ様の購入はすぐに撤回させていただきます!!!」


このひと騒動を見た、サヤ達の対応をした職員の先輩らしき人がそう言ってサヤに頭を下げる。


「なっ!?先輩!!何を言ってるんですか!?この方はBランク冒険者のグラニフ様で……」


「お前こそなら言ってんだ!!彼女はサヤ・フィーリガル!!あの「スタンピードクラッシャー」だぞ!!」


「なっ!?スタンピードクラッシャー!!?」


先輩職員の言葉を受け、先程まで対応していた職員が、腰を抜かさんばかりの勢いで驚愕する。

確かに、この世界ではランクの高い冒険者は優遇される。Bランク以上だと尚更である。しかし、「テリュカ」においては一部だけ例外がある。その例外がサヤだ。サヤはこの10年でいくつもの超自然災害級のスタンピードを潰してきた。未だに「迷宮」を2、3回しか攻略していないグラニフと、何回もスタンピードを潰してるサヤ。優遇されるのはどっちかなんて子供でも分かるだろう。


「も!!申し訳ありませんでした!!すぐに売却の手続きの撤回を……!?」


職員は土下座せんばかりの勢いでそう言った。この職員達の反応にグラニフは焦るが、それに待ったをかけたのは他ならぬサヤであった。


「いいえ。その必要はないわ。先に購入したの彼だもの。それでゴタゴタ言うつもりはないわ。それに……」


サヤはチラッとグラニフを見た後


「彼の仲間が入った家なんて、妙な細菌がありそうで、娘達についたら困るから結構よ」


「なっ!?なにぃ〜!!?」


グラニフは真っ赤になって怒るが、殴りかかろうとはしない。流石の彼ももう一対一ではサヤに勝てない事ぐらいは身に染みて分かっていた。


「他の物件はないかしら?」


「あ……あるにはあるんですが……サヤ様の条件に当てはまる物件が一つだけ……ですが……」


ものすごく困った顔をする職員だったが、サヤに「すぐに案内して」と言われたので、先程の先輩職員も伴ってサヤ達をその物件に連れて行った。

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