6.緊急家族会議

夕ご飯を食べ終えた後、サヤ達は自分達が格安料金で寝泊まりしてる部屋に集合した。サヤが今日緊急家族会議があるとの事で、部屋には3人しっかり集まっていた。まぁ、それがなくとも部屋で3人一緒にいない事なんてないのだが……


「えぇ〜……コホン!2人に発表があります」


サヤはもったいぶったような言い方をし、そして、ゆっくりとアースドラゴンの魔石を取り出す。


「本日!アースドラゴンを倒して魔石を入手した事により!目標金額を達成出来ました!」


「おぉ!ついにやったんだね!」


「パチパチ」


ラナとシアは嬉しそうな表情でそれぞれの反応を返すが、すぐに2人共暗い表情になり……


「って言うかお母さん!?今!アースドラゴンって言った!?」


「また、スタンピードを潰す無茶をしたの?」


彼女達ももう10歳。魔物やスタンピードの脅威はよく理解している。故に、自分達の為にいつも無茶な事して稼ぐ母親が心配なのだ。例え、自分の母親がどれだけ強いかを理解していても……


「大丈夫よ。私はあなた達の為なら無敵なんだから」


サヤはなんてことない風にそう言った。実際問題、彼女はこの10年間、「テリュカ」周辺に現れた突然変異種の魔物を討伐し、スタンピードをいくつも潰してきた。しかも、サヤ自身は無傷だ。そういうのがあるからこその発言なのだが、それでも娘達は心配なのである。


「分かってるけど……お母さんまでいなくなるのは嫌だよ……」


「私達にはもうお母さんしかいない」


ラナとシアの言葉に嬉しさと同時に、ある時の後悔の念が襲いかかる。


サヤは、ラナとシアが8歳になった時に、ラナとシアの本当の母親が亡くなってる事を話したのだ。もちろん、自分が助けられなかった事も含めて。

8歳になったばかりの2人にはまだ早すぎるとも思ったが、2人はエルフで、自分は人間だ。その種族違いでいずれ誰かに何かを言われるぐらいなら、もういっそさっさと話してしまおうと思ったのだ。そして、場合によっては、2人をアロマさんに預ける事も考えていた。そして、2人の答えは……


「まだ……よく分かってはいないけど……これだけは言えるよ。私達のお母さんは永遠にずっとお母さんだけだよ」


「私もラナと同じ。だから、これからもよろしくお願いします。お母さん」


2人のその言葉を聞いて、サヤは涙を流して2人をギュッと抱きしめたのを今でもサヤは鮮明に覚えている。




「分かってるわ。でも、私達はあなた達の母親だから。ちょっと無理はするわよ」


突然変異種の魔物を何体も討伐したり、スタンピードを何回も潰すのをちょっとと言えるかどうかは分からないが、サヤの言葉に2人は渋々ながら納得し、話題を変える事にした。


「あぁ〜……でも、今日でこの宿屋での生活もお終いかぁ〜……」


「ん、ちょっと寂しい気がする……」


サヤ達は、アロマやディアスの好意で、宿屋の一室を格安で寝泊まりしていたのだが、それもいい加減悪いだろうと前々から考えていたサヤは、2人にマイホームの購入を話していたのだ。2人も、やはりいつまで好意に甘えるのはよくないと分かっていたのか、サヤの意見に賛成した。

で、本日のアースドラゴン討伐をもって、サヤ達のマイホーム資金が貯まったのだ。いや、本当言うならマイホームどころか、城を購入出来るぐらいの金額をサヤは持っているが、いずれ娘達が大人になるまで色々と入り用になると思って、それはしっかり貯金していた。


「別に「テリュカ」を離れる訳でもないし、私が仕事で遅くなりそうなら、アロマさんに頼む事もあるだろうから、永遠のお別れという訳ではないわよ」


「そっか!それもそうだよね!」


「ん、今はせっかくだから夢のマイホームに必要な物を考えよう」


「あっ!シア!それナイスアイディア!」


「あまり高い物はダメよ……」


と、言いつつも、娘2人にねだられたら買っちゃうんだろうなぁ〜と思いつつ、サヤは娘2人と一緒にマイホームに必要な物の話し合いをするのだった。

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