8.新米冒険者達の帰還と更なる悲劇
そんなサヤ達が目標金額達成したよという話題した日の翌日の朝、コタローとサリーは無事に「テリュカ」に帰還出来た。本当に凶悪な魔物に襲われる事なく2人揃って無傷の帰還である。コタローとサリーはその事に対して思わず門の前で呆然と立ち尽くしてしまう。
「なんだか僕らが今無事に戻って来たのが不思議で仕方ないんだけど……」
「それは、私も同じ気持ちかも……」
2人はしばし呆然と立ち尽くしていたが、このままだと他の人の邪魔をしてしまう為、2人は門にいる兵士に話しかけ、「テリュカ」に戻る事が出来た。
ちなみに、サヤさんは夕方に帰ってきたのに、2人遅すぎだろうと思われるかもしれないが、本来ならこれぐらいはかかる距離なのである。夕方に帰って来れるサヤがおかしいのである。
「とりあえず……言われた通りに報告に行こうか?」
「そうですね」
コタローとサリーは2人揃ってギルドに向かって歩こうとしたが、ふと、何故かコタローが歩みを止めてしまう。それを不思議に思ったサリーがコタローに問う。
「どうしたんですか?コタロー君」
「いや……なんだか……聞き覚えのある人の声で……すごく苦しそうな苦悶の声がするんだ……」
コタローは種族は人間でありながら聴覚がかなり優れていた。おまけに、何かを察知する能力もずば抜けて高い。そのコタローが、その声の主がどうしても気になり、誰もいなさそうな路地裏に足を向ける。サリーも慌ててコタローに続く。
すると、そこで2人が見たのは……
「うっ……!?くっ……!?うぅ……!?」
「エリナ!!?」
「エリナさん!!?」
2人が見つけたのは、腕や足が傷や痣だらけで、今時風な美少女だった顔が殴られてあちこち腫れ、痛々しい様子で横たわっているエリナだった。
コタローとサリーはすぐさまエリナに駆け寄り、サリーはすぐにエリナの治療にあたる。エリナは、その声でコタローとサリーに気づいて僅かばかりに顔を上げる。
「その声は……コタローに……?サリー……?良かった……!?無事だったんだ……!?本当に……!?本当に……!?良かった……!?」
「エリナ!一体君に何があったって言うんだ!?」
コタローのその問いにエリナはしばし押し黙る。けれど、すぐに首を横に振り
「コタローと……サリーには話さなきゃ……ダメだよね……私のこれはね……スバルにやられたの……」
「えっ!?スバルが!!?」
まさかの人物の名前にコタローとサリーは同時に驚愕の表情を浮かべた。
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