15.転移魔法

サヤから放たれる殺気にゴロは怯え、2人は冷や汗を垂らす。彼ら2人はこれまで幾人もの冒険者への対処・対峙をしてきたが、その冒険者達とは比べ物にならないと感じている事に驚愕する2人。しかし、2人は更に驚く事になる……


シュッン!!ブォォン!!!


「なぁ!!?なんだ!!?一体何が起こったんだぁ!!?」


突然起きた出来事に慌てふためくゴロ。2人は声だけは発しないものの、ゴロと同じように何が起きたか分からず困惑していた。

というのも、3人は先程まで間違いなくサヤの家の中にいたはずなのに、いつの間にかどこかの森林地帯にいるのである。正直、幻惑魔法を疑った2人だが、自分達が幻惑にかかった様子もないので尚困惑していた。


「サヤ!?お前!?一体何をしたんだ!!?」


「あなたへの仕置きは後にするから今は寝てなさい」


「あがはぁ!!?」


先程のサヤへの殺気に怯えていたのも忘れ、サヤへ詰め寄るゴロ。しかし、サヤはデコピン一発でゴロをアッサリ気絶させる。サヤのデコピンをくらい、ゴロのデコには煙のようなものまで上がっていた。


「さて……貴方達は色々じっくりと仕置きしようかと思ってるけど……その前に貴方達の疑問を答えてあげるわ。さっきまで私の家にいたのに何で今どこかの森林にいるか疑問に思ってるでしょ?」


サヤの言葉に沈黙で返す2人。それを肯定と受け取ったサヤは2人の疑問に答える。


「答えは簡単。転移魔法を使ったのよ」


「なっ!?バカな!?転移魔法だとぉ!!?」


サヤの言葉に、2人の内の1人がそう叫ぶ。

彼らが驚くのも無理もない。転移魔法は確かに存在しているが、術式が複雑で発動するのに時間がかかり、おまけに魔力の消耗が激しい。しかも、迷宮から脱出出来る簡易の転移魔道具が作られてからは、そっちの方が便利なので、転移魔法を使う冒険者は滅多にいなくなってしまったのだ。だから、サヤも転移魔法など使えないものと思っていたのだが……


「その驚きようだと、私が転移魔法を使える事にも疑問に思っているみたいね。まぁ、貴方達はどうせ私の事も調べてるんでしょうし、言わせてもらうと、私が勇者パーティーにいた頃に、ギリアスに覚えるように強要されたのよ。転移の魔道具の節約だってね……」


サヤは軽く溜息をついてそう答える。

転移の魔道具はとても便利で冒険者必須のアイテムなのだが、便利故に値段もそこそこ高い。故に、ギリアスはサヤに転移魔法を使うように強要させたのだ。それしかお前は役に立てないだろうと罵りの言葉を込みで……

サヤも実際それぐらいでしかパーティーに貢献出来なかったので、転移魔法についての本を掻き集めて、なんとか習得に成功したのである。


が、サヤが転移魔法を使えたとしても2人には疑問が残る。先程も言ったが、転移魔法は魔力消耗が激しく、更に発動までに時間がかかる魔法だ。故に、こんな一瞬で発動出来る魔法ではないはずなのだ。おまけに、魔力も大量に消耗するはずなのに、2人の目から見ても、サヤが魔力が大量に減ってるようには感じられなかった。


まぁ、だがそれもそのはずだ。サヤ本人も知らないのだが、スキルにもランクが存在している。一般的に一番高いランクがSSと言われているが、本当に高いとSSSランクを持つ者もいる。で、サヤのスキルで魔力消費を抑える「魔力軽減」と、魔法の詠唱が早くなる「詠唱速度」のランクは……




『魔力軽減』……高すぎて計測不能(SSS以上である事は確定)


『詠唱速度』……高すぎて計測不能(SSS以上である事は確定)


ちなみに……



『マザー』……最早計測する事が不可能(とりあえずラナとシアがいる限りはずっとこの状態と思われる)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る